第8話

公平に
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2018/08/04 15:30
…真は博史の頭スレスレの地面に突き刺した
博史は口から泡を出し、気絶。
藍川真
あ、気絶しちゃった。再起不能
で僕の勝ち〜
和田一樹
ま、真。お前って何者?
藍川真
僕?空手習ってて黒帯だった。
サラッと言うと、真は俺に肩を貸してくれた
三浦友哉
真…悪ぃな…
藍川真
いえいえ〜…ねぇ、みんな?
これでこの投票は本物って証明
されたんだからさ、公平に投票
しようよ。
鹿島瑚子
公平?
藍川真
毎日あるわけだし、出席番号の
少ない方か多い方から投票して
いくの。そしたらさ、命懸けの
ミッションに挑戦する人は毎日
変わるでしょ?嫌いな人に投票
し続けるって何か悲しいし?
峰本沙月
まぁ、いいんじゃない?じゃ、
早く1番と32番の人ジャンケン
してよ。
和田一樹
俺が32番で…真が1番だな。
藍川真
最初はグー、じゃんけん…
和田一樹
ポン。
藍川真
僕の勝ち。珠莉、先と後どっち
がいい?
真の次、2番の伊藤珠莉に聞いている。
伊藤珠莉
私は…後がいい。
藍川真
じゃあ、後で。32番の一樹から
少ない人に向かって、明日は
32番、明後日は31番って感じ
でね。
みんなから「分かった。」「うん…」などの
声が上がっている。
武満咲玖
真!早く友哉を…
藍川真
一人で家まで連れて行けるから
大丈夫。咲玖と彩は安心して家
に帰ってもらって大丈夫だよ。
福永彩
分かった、ひと段落ついたら、
連絡ちょうだい?
藍川真
ん、りょーかい。
真は俺に肩を貸し、公園から出て行った。
暫くすると、俺達の家が並ぶ道に来る。
藍川真
話を聞く前に着替えてほしいん
だけど…友哉の部屋の窓ってさ
今開いてる?
三浦友哉
ああ…開けてきた筈だ。
そう言うと、真は自分の家に入り、俺を玄関
に座らせるとタオルを渡してくれた。
藍川真
ちょっと待っててね。
そのまま真は2階に上がっていった。
三浦友哉
何か…情けないな……
ぼそっと呟き、タオルで頭を拭く。
5分後、着替えた真は俺の着替えを持って
戻ってきた。
三浦友哉
え、どうやって?
藍川真
僕の部屋の窓から、飛び移る。
三浦友哉
ははっ、マジか…
藍川真
ほんとほんと、着替えたら僕の
部屋に来て。話は聞くから。
三浦友哉
分かった。
言われた通りに着替えると、2階の真の部屋
に行く。
藍川真
それで、話って何?簡潔に済ま
せて欲しいな。1戦したから…
三浦友哉
眠いんだろ?
藍川真
うん。
三浦友哉
さっきの博史の態度も見ただろ
うし、美桜と颯太の死体も見た
よな?
藍川真
あー…何かあったね…
三浦友哉
だから、投票で選ばれた人は、
ミッションで回避しないと本当
に死んでしまうらしい。千夏の
家に行ったけど、警察がいた。
藍川真
そっか…けど、それだけじゃ
電話でできたんじゃない?
三浦友哉
うっ……あとは…
俺は真の手を少し引いた。
藍川真
…そういうこと。ほらおいで?
三浦友哉
……。
無言で真に寄りかかる、真はそんな俺を抱き
締め、頭をわしゃわしゃっと撫でてくれた。
彩と咲玖には見せられない姿。
彼女でも親友でも無い、幼稚園の頃から知る
幼馴染の真だからこそ出来る行動。
落ち着きのないときや、心がやられそうな
時はいつもこうやって真に慰めてもらった。
藍川真
友哉は強いし、大丈夫。きっと
こんな投票があっても生き残れ
ることが出来るよ、彩も咲玖も
みんな一緒に…
三浦友哉
ありがと…
離れると真がニッと八重歯を見せながら笑う
俺は改めて「ありがとう。」と言うと、別れ
を告げ、自分の家へと戻った。

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