何週間にもわたる長旅の末、ようやくコウタニウムラボに辿り着くことができた。旅は楽しかったけれど、やっぱりいつものラボにつくと帰ってきたという安心感が凄い。やっぱり我が家が一番だ。そういえば、imo64君は我がラボを見て凄い驚いていたっけ。
実験道具を興味津々に聞いてくるimo64君。このラボには危ないものもあるからちょっとだけ落ち着いてほしいが…。まあ、可愛いから許しちゃうボクもボクなんだけど。幸いにしてimo64君は賢かったから勝手に実験器具に触ったりすることはなかったから危険なことはなかったけれどね。imo64君はすぐにラボに馴染んでくれた。今では、簡単な実験なら助手として力を貸してくれるほどだ。imo64君の適応力はとてつもないと思う。
そんなある日、ボクはimo64君と二人で外食に行くことになった。他の研究者はこの後も研究を続行するって言って聞かなかったから。
という事でラボから比較的近いファミレスに入った。店員さんは、青い着物を来た人でなんか猫さんを×したり、ツイキャスとか配信とかで女性を囲わせて怒られてそうだな…と思いつつ、僕らは席についた。
軽く愚痴をこぼしながら、imo64君は店員さんをスパゲッティとドリンクバーを二つ頼んだ。
という事でドリンクを持ってくるのはimo64君に任せることにした。その間、ボクはというとはじめてimo64君と会ったときのことを思い出していた。風ノ巡リ人でも、あんな高い所まで上るのは難しいはずなんだけどどうしてあんなところまで上ってこれたのか…ちょっと疑問は残るけれど、別に知ったところで何にもならないからいいか…
後ろからひょいっと現れて目の前に紅茶を置いてくれたimo64君が不意に聞いてきた。
どうせ、嘘をついて何にもならないし正直に言った。すると、imo64君はちょっとばつの悪そうな顔をして……
そうか、imo64君が優秀な個体であったから研究者にもたくさん実験をさせられたのか……。そりゃ、思い出したくもないよな……
いつも通りに笑うimo64君。だけど、彼の笑顔に影が差したのをボクは見逃さなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。