第7話

No.7
7,376
2021/08/22 15:26
酷い有様だった。








あなた
なに、これ...







燃え盛る炎、逃げ惑う人々、悲鳴。





それから、商店街のど真ん中で暴れるヴィラン。







あなた
勝己!







だけど、今の私にとっては勝己が優先だ。





庇ってくれた、助けてくれた。





だから、見捨てるわけにはいかない。





なにより、大切な弟だから。







モブキャラ
あなたさん!危ないって!







そんな声が聞こえたが、私は気にせず走り出した。





今一番危ないのは勝己だ、私じゃない。





ヒーロー志望が目の前で困っている人を見捨てるなんて、そんなことできるわけない。







あなた
あっづ!!
爆豪勝己
!!







火が手にあたり、思わず声を上げる。





勝己がそんな私を見て、ヴィランから逃れようともがく。





けど、ヴィランは勝己から離れない。





どうしよう、このままじゃ...。





その時だった。







あなた







何人かのプロヒーローたちが、こちらに向かってくるのが見えた。





よかった、これで勝己も助かる。





そう思って安心していた、が。





ヒーローたちが、おされている。





パンチをしてもヘドロの中に手を突っ込んでいるような感覚で、手応えがないみたいだった。





と、







あなた
!な、っ







ヴィランがまた、私の方に向かってきた。





それを見た勝己が、再び爆破を繰り返して叫ぶ。







爆豪勝己
こいつに手ェ出すんじゃねぇええ!!!







けれど、ヴィランは動きを止めない。





もうダメだ。





そう思ってぎゅっ、と目を瞑った、その時だ。







緑谷出久
かっちゃん!!あなたちゃん!!







聞きなれた幼馴染の声が聞こえてきたのは。







あなた
い、出久!?
爆豪勝己
なんで、テメェが!!?







私と勝己が、同時に声を上げる。





出久は無我夢中でヘドロを掻き分けながら、口を開く。







緑谷出久
足が勝手に!!なんでって、わからないけど!!







そう言う出久の顔は、涙でぐちゃぐちゃだ。





怖くて怖くてたまらないはずなのに、助けに来てくれたんだ...。







緑谷出久
君たちが、助けを求める顔してた...







と、勝己がさらにヴィランのヘドロに包まれていく。





それと同時に、出久に向かってヴィランが大きく振りかぶった。







あなた
勝己!!出久!!







咄嗟に腕を伸ばす。





ダメ、間に合わない。





そう思った、その時だ。







???
本当に情けない







聞き覚えのある声が聞こえた。

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