出久がそう言った、その時だった。
勝己が個性で出久の机を爆破したのは。
尻もちをついた出久を、勝己が見下ろす。
私は思わず立ち上がり、勝己の元へと歩み寄る。
焦ったように言うと、出久は俯いた。
私は思わず、出久の前に立ちはだかった。
とたん、勝己が軽く爆破を起こして威嚇する。
そう言い合いながらしばらく睨み合っていたが、やがて勝己が舌打ちをして、席に戻っていく。
このやり取りはもはや日常茶飯事。
出久を庇って私と勝己が言い合いになり、最終的には勝己が折れる。
これがほぼ毎日のやり取りだ。
座り込んでいる出久の手を取り、立ち上がらせる。
全く、いつになったら仲良くしてくれるのかなぁ。
幼馴染なんだから、2人には仲良くしてほしいのに。
***
放課後になると、クラスメイトの女子たちが声をかけてくる。
クラスメイトたちを見送り、私は鞄を持って立ち上がる。
文房具買いに行きたかったんだ。
勝己と一緒に帰ってもよかったんだけど、本人はいつもの人たちと一緒にいるから、今日はいっか。
別に勝己に問題があるわけじゃないんだけど、ただ私があの人たちを苦手だ、って思ってるだけで...。
うーん、難しいなぁ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。