そう言いながら靴を履いて、家を出る。
セーラー服のスカートが、風に吹かれてふわりと靡く。
そう言って私を見つめているのは、私の双子の弟、爆豪勝己。
制服を着崩してズボンのポケットに手を突っ込んでいるその姿は、まさに不良そのもの。
この男の双子の姉である私、爆豪あなたは、彼と同じ中学三年生。
まあ双子だし当たり前だよね。
そう言うと、勝己は私の腕を掴んで歩く場所を変えさせる。
変なところで優しいんだよね、こいつ。
素直じゃないなぁ。
そう思いながら笑っていると、突然、ぎゅ、と手を握られた。
ここどこだと思ってるのよ。
勝己は変なところで過保護である。
でも絡まれることなんてないし、こんなところでわざわざ手を繋がなくてもねぇ...。
アホか。
嫌がる私になど構わずに、勝己は私の手を握ったまま離さない。
結局、学校に着くまでずっとこうだった。
***
教室に入って早々、いつも勝己とつるんでいる男子がこちらに歩いてくるのが見えて、私は思わず身体をびくつかせる。
それを見た勝己は、その男子に向かって舌打ちをする。
そう言いながら、勝己は威嚇するように掌で軽く爆破を起こす。
私は勝己と一緒にいる男子が苦手。
だって、煙草吸ってたりとかするんだもの。
あとガラ悪いしちょっと怖いから、あんまり関わりたくない。
誰にも聞こえないくらいの小声でそう言って、勝己は私の髪をくしゃりと撫でる。
それから、先ほどの男子の元へと歩いていった。
突然後ろから声をかけられて振り向くと、そこに立っていたのは幼馴染の緑谷出久。
彼は私の言葉を聞くと、にこっ、と嬉しそうに微笑んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。