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第1話

No.1
10,939
2021/08/19 13:28
あなた
お父さん、お母さん、行ってきます
爆豪光己
行ってらっしゃい、気をつけなよ
爆豪勝
行ってらっしゃい







そう言いながら靴を履いて、家を出る。





セーラー服のスカートが、風に吹かれてふわりと靡く。







爆豪勝己
あなた、行くぞ
あなた
はいはい







そう言って私を見つめているのは、私の双子の弟、爆豪勝己。





制服を着崩してズボンのポケットに手を突っ込んでいるその姿は、まさに不良そのもの。







あなた
ちゃんと制服着なよ
爆豪勝己
めんどくせえ
あなた
内申響くかもよ?
爆豪勝己
...他で補うわ
あなた
ふーん







この男の双子の姉である私、爆豪あなたは、彼と同じ中学三年生。





まあ双子だし当たり前だよね。







爆豪勝己
おい、こっち来い
あなた
え、なんで?
爆豪勝己
道路側歩いてんじゃねえよ







そう言うと、勝己は私の腕を掴んで歩く場所を変えさせる。





変なところで優しいんだよね、こいつ。







あなた
ありがとね
爆豪勝己
ふん







素直じゃないなぁ。





そう思いながら笑っていると、突然、ぎゅ、と手を握られた。







あなた
なに?
爆豪勝己
別に
あなた
じゃあ離して







ここどこだと思ってるのよ。







爆豪勝己
ほっといたら変な男に絡まれんだろが
あなた
絡まれないって







勝己は変なところで過保護である。





でも絡まれることなんてないし、こんなところでわざわざ手を繋がなくてもねぇ...。







爆豪勝己
こうしてりゃあなたは俺んだ、ってわかるだろ
あなた
ちょっとなに言ってるかわかんない







アホか。





嫌がる私になど構わずに、勝己は私の手を握ったまま離さない。





結局、学校に着くまでずっとこうだった。









***









モブキャラ
お、勝己おはよー
爆豪勝己
はよ
あなた







教室に入って早々、いつも勝己とつるんでいる男子がこちらに歩いてくるのが見えて、私は思わず身体をびくつかせる。





それを見た勝己は、その男子に向かって舌打ちをする。







爆豪勝己
おいコラ。俺のあなた怖がらせてんじゃねーよ







そう言いながら、勝己は威嚇するように掌で軽く爆破を起こす。





私は勝己と一緒にいる男子が苦手。





だって、煙草吸ってたりとかするんだもの。





あとガラ悪いしちょっと怖いから、あんまり関わりたくない。







爆豪勝己
わり、あなた







誰にも聞こえないくらいの小声でそう言って、勝己は私の髪をくしゃりと撫でる。





それから、先ほどの男子の元へと歩いていった。







緑谷出久
あなたちゃん...?
あなた
!あ、出久、おはよう
緑谷出久
うん、おはよう







突然後ろから声をかけられて振り向くと、そこに立っていたのは幼馴染の緑谷出久。





彼は私の言葉を聞くと、にこっ、と嬉しそうに微笑んだ。

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