〇氏名 : 火華あなた
〇個性 : どんなに小さい火でも、どんなに大きな火でも簡単に操る。発火、消火は自由自在。
〇年齢 : 16歳
〇備考 : 爆豪と幼なじみ
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『沈む』
沈む。
沈む。
静かに、ただただ沈んでいく。
肢体を無造作に放り出して、
私の身体は沈んでいく。
冬の海は、ただ冷たくて人が長時間潜っているには厳しい環境である。
ああ、寒い。
沈む身体も、水圧である程度したら上へと引き上げられる。
身体が、浮かんでいく。
バシャンっ
激しい音とともに水面が揺れ、それは私の右腕を掴んで、上へ上へと引き上げた。
海面に2人、顔を出しながら呼吸を繋ごうと、必死になって言葉を発した。
昔から、ずっと勉強もできた。
運動もできた。
個性も恵まれてた。
家が裕福だった。
なんでも卒なくこなしてた。
昔はそれでも良かった。
でも中学生になった今、その1つ1つが積み重なって妬み嫉みの格好の的となる。
学校をサボるようになった。
友達も、
親も、
先生も、
うるさい。
海の底は、何も聞こえない。
いろんな雑音から私を、匿ってくれる。
だから私はこうして…
バシャバシャと激しい音を立てながら砂浜に戻ると、すぐ追いかけてきたこの男に「私がここで泳いでること言ったら殺す」そう吐き捨てて私は家への帰路を辿る。
みんな私から離れていった。
でもたった1人、あの男だけは執念深くついてまわってくる。
ヒソヒソと後ろ指を指すようにではなく、正面から向かってくるようなやつは、最早爆豪しか残っていない。
ふっと吐いた息は白く、冬の訪れを明確に想起させる。
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『遠い昔話?』
【爆豪side】
来る文化祭。
高2になった俺たちにとって2回目の文化祭。
準備だのなんだの、めんどくせェ…
さっきの話…
海に沈むのが趣味(?)だった幼馴染の話。
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『病んで荒んで』
ある日の学校帰り、顔に傷を負って鼻血でシャツに染みを作りながら歩く火華の姿を見た。
右手の甲でぐっと鼻を押さえ、フラフラした足取りで1歩1歩進んでいる。
迷わずカバンからタオルを取り出し、鼻を押さえる手を無理矢理外すと、タオルで押さえさせた。
血塗れの右手を掴んで家まで連れて行くと、すぐに保冷剤を冷凍庫から取り出していくつか手渡す。
切れた口角や傷のある頬に絆創膏やガーゼを貼った。
「初めて何かに失敗したよ。悔しくて…悔しくてたまらない」
声をつまらせながらそう言う火華の頭をそっと撫でると、大粒の涙を零しながら嗚咽を漏らした。
再び台所へ向かい、今度は冷蔵庫を開く。
炭酸飲料の缶が1本入っていて、それを投げて渡した。
そう文句を言う火華のために缶の蓋を開け、まず自分が先に1口飲んだ。
久々に見る火華の笑顔。
と言っても、ニヤッとした顔だから笑顔と言えるか分からないが。
こちらとしては、からかわれたままでは気が済まない。
缶を手渡し、火華が飲み終えて息を吸い込んだ瞬間を狙って唇を重ねる。
最初は驚いた顔をしていたが、次第にこの状況を受け入れ、最終的には目を閉じて、腕の中で落ち着いていた。
炭酸飲料の甘い味、炭酸のちょっとしたしゅわしゅわ感の余韻。
ゆっくりと唇を離した時に火華の蕩けた瞳と目が合った。
これが、この女火華あなたとの馴れ初めである。
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『今はどうなの?』
そう言っている途中で、ガラッと教室のドアが開いた。
「お願いだから、秘密にしててね」
そう言って上鳴の口元に人差し指をシッとあてると、キュン死してしまった。
うん、今日も平和。
最近投稿できていなかったので、かっちゃん3連発でした!!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!