〇氏名 : 万音あなた
〇個性 : 人真似
→作中にて詳しく説明
〇年齢 : 16歳
〇備考 : 物間寧人の彼女
ヒーロー科1年B組に所属
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『始まりは』
《なんであなたは泣いてるの?》
夕闇迫る河原で、1人寂しく泣いている銀髪の女の子のもとに金髪の男の子が駆けつけ、話しかける。
「ヒーローにはなれないって…言われたから、」
男の子の問いに、声をつまらせながら答えるあなたという女の子。
《なんであなたはヒーローになれないの?》
淡々と質問を重ねていく男の子。
「ザコ個性だから…」
《あなたの個性って?》
「私の個性は、人真似」
《人真似って?》
「全然、戦い向きじゃない…人の声とか姿とか、個性を真似するだけ…」
《僕と似た個性だね。僕の個性は、触れた相手の個性をコピーするもの。》
「寧人は…触れるだけでいいけど、私は…その…」
《あなたは?》
「…キスすることで、個性をコピーするの…」
《へえ…それなら、》
そして幼い2人の影は、重なった。
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『好き』
万音は、ただの落ちこぼれと散々罵られ、ヒーローは諦めろと言われてきた。
それでも決して努力を怠らず、ヒーロー社会の最高峰、雄英まで上り詰めたのだ。
ここまで万音が来れたのには、約10年前の幼く弱い万音に、勇気と力を与えた1人の男の存在が大きい。
そう、万音あなたをここまで育て上げたのは他の誰でもない、この男「物間寧人」である。
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なんでこんな恥ずかしいことを平気で口にできるのか、なんとも不思議でたまらない万音あなたです。
拳藤一佳とは、入学初日で意気投合。すぐに仲良くなったのである。
また、万音の不在時に物間が暴走すればそれを宥めてくれるクラスの姉御系女子だ。
こんなに真剣な目をした物間を久しぶりに見るなあと感じた万音は、周りに悟られぬよう静かに闘志を燃やし始めたのだった。
演習の内容は、同じクラスの中で5人1組となり、その中から1人リーダーを決める。
そしてA組とB組とで1組ずつ戦い、メンバー全員を戦闘不能にするか、敵チームのリーダーを探し出し、リーダーにカフスを付ければ勝利。
万音が心配になるのもそのはず。
何せ相手チームが強すぎる…!
《A組》
爆豪、緑谷、麗日、轟、耳郎
《B組》
万音、物間、小大、泡瀬、鉄哲
「そうだね、うん!きっと大丈夫!!」
と自分の心を奮い立たせる万音である。
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『底辺から這い上がれ』
リーダーは小大に決定し、一直線に攻めてくるはずであろう爆豪の食い止め役に鉄哲が。
そして敵地に万音が乗り込み、その間の小大の護衛を泡瀬と物間が。
これで役割分担が決まり、早速万音は乗り込む準備を始めた。
来た、早すぎる、!
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敵の陣地に残っていたのは、緑谷、麗日、耳郎の3人。
爆豪と一緒に轟まで攻め込んで行ったのか…
と少し不安になる万音。
感知タイプの耳郎に気づかれることを防ぎたい万音は、足音を最小限に抑えて歩き出す。
ゆっくりと近付き、背後から麗日の口を塞いで後ろから抱き着く形で遠くへ逃げた。
そう、万音と会話をすることでその相手は声を真似られ、ハグをした相手は姿をも真似られてしまうのだ。
「ここでしばらくじっとしててね。」
ニヤリと笑って、麗日の手にB組のリーダー捕獲用のカフスをつける。
1度しかカフスは使えないため、これでA組の勝利条件は、B組のメンバー全員を戦闘不能にすることだけとなった。
と1度咳払いをすると、麗日の姿になり、麗日の声で話し始めた。
走ってA組の陣地へ向かうと、緑谷と耳郎が麗日を取り戻す算段を立てていた。
見た目も声も、話し方まで完璧にコピーできる。
疑われることは早々無いだろう。
疑いの心を決して隠そうとしない緑谷の警戒は1層高まっていく。
万音は近くにあった木に触れ、木を浮かして見せると緑谷はホッとしたような表情を見せた。
ここで疑問が生じる。
麗日とキスをしていないのになぜ麗日の個性をコピーできているのか。
幼い頃、物間とキスをすることで万音は物間の個性をコピーした。
その物間の個性、つまり触れるだけで相手の個性を5分間コピーできる力を手に入れたというわけである。
万音の人真似は、物間のように時間制限はなく、1度真似した声、姿ならばいつでも真似できる。
キスすることで真似られる個性のストックは2つまでと制限はあるものの、時間制限はない。
声と姿を真似る条件を達成することができても、結局は個性を真似るための条件が難関すぎて戦えないという理由で散々罵られてきた。
それは万音自身も理解していた。
しかし、物間のおかげで相手に触れるだけで個性がコピーできるようになったのだ。
カフスを渡すフリして、右手にサッとカフスをかける。
そう呟いた瞬間姿と声が元に戻り、絶望に浸った顔の緑谷と耳郎を置き去りにするように、演習終了の合図が鳴り響いた。
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『ヤキモチ?』
「いいよ!」
さっぱりとした笑顔を緑谷に振りまく。
その次の瞬間、腕の間からさっと手がでてきてがっしりと後ろからホールドされる。
身長170cmの物間が、身長155cmの万音の肩に顎を乗せて、じとっとした目付きで緑谷を睨む。
「ふーん、ま、寧人が元気ならいいけど」
と少しはにかむと、口元のえくぼが目立つ。
話を聞いてみると、 何やら万音の個性をコピーした物間は小大の姿になり、ギリギリまで粘ったことで爆豪は怒っているらしい。
「何を言い出すんだ?!あのときのアレは内緒にしようって話だろ、?」
何やら暴露されてはならないようなことまでしちゃっているため、とにかく物間は焦る焦る。
これ以上緑谷と話していたら、自分がボロを出してしまいそうだからと物間はそのまま万音を抱き抱えて駆け出したのだった。
🎭 🎭 🎭
『独占欲の塊』
校舎裏に着くと万音を優しく地面に下ろし、物間はふっと一息ついた。
「かわいいか…」
万音に聞こえるか聞こえないかくらいの声の大きさで呟いて、俗に言う壁ドンをした。
そう言って、食いつくようにキスをする。
長い時間が過ぎたように感じた。
ゆっくりと唇を離したとき、万音はふにゃっと笑って、
と今にも溶けそうな声でそう言った。
万音にとって、唯一無二の存在は、他の誰でもない「物間寧人」ただ1人である。
それはもちろん、逆も然り。
この万音の、火に油を注ぐような発言を受けて、物間の万音愛が強まり、何度も唇を重ねた。
そして、他の組の戦っている最中にバレないようクラスメイトの輪に戻ったが、ブラドキングに無事バレて、ゲンコツを2人で食らいましたとさ。
〜作者から〜
待って、物間くんの独占欲が強すぎてこんな人だったっけレベルにやばいことんなりました🙇♀️
申し訳ないです💦
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。