🐰 「 ㅎㅎ 後悔なんてしませんよ」
🐰 「 ‥で、ゲームってなんですか 」
🐯 「 俺がお前ん家を最後の時間にしたほんとの理由を当てるまで 」
🐯 「 お前の母さんの前で際どいことし続けるってゲーム 」
🐰 「 ‥は?何そのゲーム、そんなん ‥ 」
そんなん絶対バレる。そう言いかけた時、キッチンの方から紅茶の入ったカップを持って、母がやって来た。
🐯 「 よーい 」
🐯 「 スタート 」
オンマ 「 ごめんなさいね先生、遅くなりまして ‥ 」
そう言いながらティーカップを3つ、ゆっくりと机に置く母。置かれた瞬間に波打つ紅茶を見ながら、俺は気が気でなかった。先生のことだからきっと容赦ないだろう。一体何をしてくるのだろうか。いや、でも当ててしまえば ‥
ん?待て、‥これ ‥
🐰 「 どーやって答えんだよ ‥ 」
🐯 「 ん?どーしたジョングク 」
🐰 「 っあ、いや ‥なんでもないです、」
母がいる前で、どうやって答えたらいいんだ?もし答えたとしても、不自然極まりない男と化してしまう。先生は全て計画済みだったのだろうか。母親がいる限り、俺はヒントさえも得られないのだ。しかし答えなければ、延々と先生に際どいことをされ続けるんだろう。つまり、今の状況は圧倒的に俺が不利という訳だ。制限時間を設けられているわけではないのに、妙に急かされるような衝動に駆られる。俺に備わっている回答時間は、母が席を外した時のみ。その間に答えなければ、このゲームは完敗ということだ。
オンマ 「 ‥グク、ジョングクったら ‥聞いてるの?」
🐰 「 へ、?あ、‥うん、聞いてる 」
オンマ 「 もー、‥この子ここ最近ずっとこんな感じで。たまにぼーっとしてるっていうか ‥ 」
🐰 「 ちげーよ、考え事してんだよ 」
🐯 「 へぇ、何考えてんの?」
🐰 「 え、いやそれは ‥ 」
先生のことだなんて言えないだろ
オンマ 「 そうなんですねぇ、‥ところで先生は ‥ 」
先生のゲーム開始宣言を聞いてから、20分ほど経っただろうか。今のところ両者何もせず。と言ったところだ。俺が何か答えることもないし、先生が仕掛けてくることも無い。そう思っていた時だった
俺の手に何かが触れたのは
反射的に下を向くと、先生の手が俺の小指に、少しずつ触れていっていた。これぐらいなら動じないと思っていた自分が甘かったのか、俺は分かりやすいように動揺してしまう。だが母がいる手前、変に動くことも出来ない。そう思っていると、呆気なく先生に指を絡め取られてしまった。傍から見れば恋人繋ぎ。手を動かそうとしても、動かせないほどの力で握り返される。そんな事をしてても
オンマ 「 ‥ってことがあってですね?ふふ、 」
🐯 「 あはは、面白いこと言いますね 」
まるで何も起きていないかのように会話を続ける先生。母も母で、まさか机の下で息子と担任が手を繋いでいるだなんて、思わないだろう。
ぎゅっと握ったり緩めたりを繰り返しながら触れてくる先生。‥待て、この動作どこかで‥
‥思い出した。あれは教室で、‥
となると次の動作は ‥ !
🐯 「 ですねぇ、あ、なんか落ちてますよ 」
そう言って自分の座る椅子を引き、ゆっくりと屈む先生。そして案の定、屈む途中で俺の手の甲にキスを落としてきた。
冷静を装っているが、内心大パニックだ。ただ母の目の前ということもあって、何も無いように振舞っているだけ。それにここまでは想定内だった。
唇を離した瞬間に、ちゅっと音が漏れる。
オンマ 「 ん?なんの音 ‥?」
そう机の下を覗こうとする母。思わず俺も
🐰 「 あー!あれ!あれなんだろ、虫じゃない?」
と何かのアニメで見たようなセリフとともに、明後日の方向を指さす。え?どれどれ?となんの疑いもなしに俺の指の先を見出す母。なんとかかわせたようだ。しかし机の下では、先生の暴走はエスカレートしていくばかりだった
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。