第68話

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2022/04/03 13:15
透き通るような青みを帯びた空に手を伸ばせば、真っ直ぐで、真っ白な光が指の隙間から瞳に差し込む。















🐰 「 う、っ眩し 」















🐯 「 何してんだよ 」















そう微笑む先生を見て、思わずこちらも口元がほころんだ。周りはそれぞれ声を弾ませては、楽しそうに言葉を交わす。この場所にいる全員が、それぞれに思い出をきずいている。また、その一瞬一瞬を形に残したいという思いからか、スマホ片手にキョロキョロと辺りを見回す女子高生の姿もちらほら見受けられる。そんな彼女らの姿を見て、ふと言葉を口にした。















🐰 「 ねぇ、せんせ 」















🐯 「 ん?」















🐰 「 俺達も撮ろうよ、写真 」















🐯 「 え、写真?」














🐰 「 そう、写真。まぁその…せっかくだし 」















🐰 「 あ、ほら、あそことか!」















と、半ば強引に先生の腕を引っ張って、湖のそばまで移動する。















🐯 「 って、おいおい、…ったく、しゃあねぇな 」















そう呆れたように言う先生だけれど、本人は満更でもないようで。この手のバカップル的な行動は苦手なタイプかと思いきや、案外そうでもないらしい。抵抗せずに着いて来る様子は、どこか子供の我儘に振り回される保護者の姿にも似通っている。なんて、俺が言うことではないけれど。















湖の水面には、太陽の光が反射して、波打つごとに大気中に光を散りばめる。晴天だからこそ生み出すこの光景に思わず見惚れていると、間もなくして、まるで洋画からでも飛び出したかのような、優雅な蒸気船が水面を横切った。それらを見ながら、柵のすぐそばで先生と2人並ぶ。澄み切った空の青さを映し出す湖を背景に写真を撮ろうとは、俺も案外洒落っ気があるじゃないか、と謎の自己満足に浸る暇もなく、今はスマホの角度を変えるのに必死だ。背景をきちんと入れつつ、でかい男2人が画角に収まるようにするのは想像以上に難しい。そんな俺の様子がぎこちない手つきから先生にも伝わったのか、















🐯 「 …だぁもう、何してんださっきから 」















🐰 「 んー、見ればわかるでしょう 」















🐯 「 いやわかるけど、…お前不器用すぎんだろ ㅋㅋ 」















🐰 「 んもぅ、うるさいな、これ結構難しいんですからね 」















するとしびれを切らしてか、" 貸して "と言わんばかりに手を差し出してくる先生。これには仕方ないと思いつつも、わざと不満げに頷き、スマホを渡す。



















🐯 「 …うーん、入んねぇなこれ 」















🐰 「 ほらー、だから難しいって言ってるんですよ 」














🐯 「 いや、ここで撮りたがったのはお前だろーが 」














🐰 「 っ…そうですけど、」















そしてそのまま何も言えずにいると、














🐯 「 …てかお前、もうちょい近づいて 」















そう俺の腰に手を添えれば、自身の方にそっと寄せる先生。急に触られたせいか、一瞬身体がぴくりと反応する。















🐰 「 っえ、ちょ、」
















🐯 「 ビビりすぎ、なんもしねぇって 」















🐰 「 だ、だってそんな急に… 」















🐯 「 …ん、まぁこんなもんだろ 」














すると合図もなしに、いきなりシャッターボタンを押す先生。パシャリとスマホからシャッター音がしたと同時に、撮られたことを理解する。はっとしたのもつかの間。















🐰 「 ちょ、先生!撮る時は言ってくださいよ!」















🐯 「 んなもん言ったところで変わらねぇって…って、おいジョングガ 」















すると先程撮った写真を見ながら、ニヤニヤと笑い出す先生。















🐰 「 ん、なんですか、」














スマホをこちらに向けたと思えば















🐯 「 俺の事見すぎ 」















何が楽しいんだか、片手で口元を抑えて笑いを堪えながら、写真の一部をズームする。そこには、なんともタイミング悪く、先生を凝視している俺の姿が見事に映っていた。














🐰 「 だってこれ先生がいきなり撮るから…!もう、さっきから何笑ってるんですか、」















🐯 「 だってこの顔、ふっ、ㅋㅋ 」















🐰 「 もういいですって、ちょ、それ消してください 」















🐯 「 やだ、後で送って 」














🐰 「 嫌ですよ、何の罰ゲームですかそれ 」














🐯 「 遅れて来た分の追加ってことで 」















🐰 「 話と違うじゃないですか!このカチューシャだけでも結構ダメージ大きかったんですけど 」















🐯 「 でもそのカチューシャのせいで別の意味でこっちにダメージ来てるから…俺的にはあんまお前に対する罰ゲーム感ないわけ 」















🐰 「 …いや、意味わかんないですって 」















🐯 「 だから、ただでさえ耐えらんねぇぐらいなのに、それのおかげで小動物感プラスされて余計に可愛いってこと。お前俺にどうしろってわけ? 」
















🐰 「 別にどうも…ってか小動物って…し、身長差あんまないですし!大して変わんないんじゃ… 」















🐯 「 あー、それも気にならないぐらい可愛いんだわ、残念でした 」















🐰 「 …なにそれ、ほんと意味わかんない… 」















そう俯きながら言えば、ため息混じりにこう言い出した。















🐯 「 …ったく、これじゃこっちが罰ゲームだっての。…分かってる?俺もそんなお利口にはしてられないんですけど 」
















そう試すように言えば、意地の悪い微笑みを口許に浮かべ、俺の付けてるカチューシャの耳をつまむように触ってくる先生。先生お得意のこの表情は、俺にとって1番ずるい顔。先生の瞳は俺を捉えて離さない。そしてこの瞬間、思い出してしまった。先生に犯されたあの時と、おんなじ表情だ。あの姿が重なる。先生はそんなつもりないのだろうけど、俺の身体がそれを証明していった。























泣きそうになるぐらい、興奮する。


































🐰 「 …っそういうことじゃなくて …その、っ 」















思ったように言葉が出てこない。呂律が回らなくなるこの感覚。身体が火照るのに、時間はかからなかった。















🐯 「 …ねぇ、なんでそうすぐ赤くなるわけ? 」















🐰 「 あ、赤くなってません、…っ 」















🐯 「 ほんとに?この状況でその顔すんのは大分タチ悪いけど 」















🐰 「 …何言って…ぜ、全然、…わかんないです、」















🐯 「 …あー、そういうの。ずるいよな 」















🐰 「 …はい?」















するといきなり、耳元に顔を近づけられる。吐息が耳にかかるくらい、すぐ近くに人がいるにもかかわらず、恋人同士という以外のなにものでもないほどの距離感で迫られる。ところ構わずこんなことして、まったく、タチ悪いのはどっちだよ。少なくても今の俺は、これから言われるであろう決定的な一言に耐えられる自信はない。そんな耐性、どこにもついてないからだ。結局罰ゲームは、カチューシャなんて甘いものじゃ済まされなかったんだ。火照る身体が求めてしまう。あの時の感覚とまったく同じ。ただ1つ違うのは、ここは密室ではないということだった。

























🐯 「 それ以上可愛いことしないで。俺の理性もたない 」















🐰 「 っ… 」















先生、どうしたらいい?俺















これはある意味初めての感覚だった。先生の一言一言によって、俺の中の何かが切られていくようで。それでも、この場では完全に切られてはいけないと、身体全体が警鐘を鳴らすみたいだった。今ここで冷静にならなければ、後々後悔するとわかっているからこそ、抑えるのに必死なのだ。だから息も荒くなる。身体が熱を帯びる。わからないんだ、初めてなんだ。こんな感覚、知らない。















🐰 「 …まじで、っ… 」















🐯 「 …ん?」















🐰 「 何これ、きっつ、…ばか、ほんとばか…っ 」















🐰 「 理性、ね、…せんせ、無理だわ、俺… 」















🐯 「 …グガ?」















🐰 「 」














































































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