第51話

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2021/07/09 09:11
🐰 「 ..あぁ、もう、っ 」















"分かったから"と小声で囁けば、抱き締める力が弱くなる。くるりと振り返れば、目の前には先生の姿が。ほら、と言わんばかりの表情でこちらを見つめる先生からは、相変わらず妖麗な雰囲気が漂っていて。まるで目を合わせれば捉えられてしまうかのようだった。だけど今はそんなことを考えてる余裕はない。先生の目を見つめてこう一言

























🐰 「 ..す、好きです、..せんせ、っ 」


























そんな自分の発言に堪らなく恥ずかしくなり、誤魔化すように目を瞑った。そして勢いに任せて、先生の唇にちゅっとキスを落とす。不器用なそのキスは、その場しのぎにしかならない。もしこれが本当に2人きりの空間で、誰にも邪魔されないと分かっていたら、先生は本物のキスをしてくれただろうか。..なんて考える自分に益々羞恥心を覚え、口を離した時に漏れるリップ音を残したまま、
















🐰 「 ..じゃ、もう行くから、っ、.. 」















逃げるようにその場を去った。ああもう、恥ずかしい、恥ずかしい恥ずかしい、..















先生、どう思ったかな。結局最後には目も合わせられなかった。そのせいで、先生がどんな反応を見せたのか分からない。自分の言動に対する恥ずかしさに耐えきれなくて、そのままの勢いで教室のドアを開ければ、クラス中の全員がこちらに視線を集中させる。"おせーよ" とちゃかす男子も居れば、"昨日は大丈夫だった?"と心配してくる女子もいる。それぞれに相槌を打ちながら自分の席についた瞬間、忘れかけていた腰の痛みが襲ってきた。朝から色々ありすぎたせいで脇役へと降格してしまったように思われたが、存在を主張するかのようなこの痛みと、今日は一日中格闘することになりそうだ。






































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ハウン 「 ..あ、テヒョン先生。おはようございます 」















そう背後から話しかけられたと思えば、慌てて後ろを振り返る。見覚えのある立ち姿に、














🐯 「 ..え、あ、..どうも 」














いつも通り素っ気ない返事を返す。特に話を深堀したいような相手ではないからか、ただ単に興味がないからか、無意識にそういう反応に至ってしまうのだ。















ハウン 「 どうしたんですか?そんなとこで立ち尽くしちゃって 」















ハウン 「 それに顔も真っ赤じゃないですか、大丈夫ですか? 」















🐯 「 ..え?..あ、大丈夫です、..すいません、お先に失礼します 」


















顔が真っ赤。そう他者から言われれば、余計恥じるのは目に見えている。そのせいで更に頬が紅潮していくのなんて、もはや生理現象なのだから仕方ない。口元を手でおおって、相変わらず無愛想な返事をしてから教室に向かう。















俺があいつにこんなにも翻弄されてしまうだなんて。数ヶ月前の俺には想像も出来なかっただろう。現に今だってそうだ。あんなキスで照れるような野暮じゃないって、そう思ってた。しかし照れる要因はしっかり備わっているという事実には抗えなかった。..そう、率直に言えば、..



































可愛すぎた。


































単純な言葉。けどこの感情を表すのには最適な言葉。可愛くて可愛くて堪らなくて、頑張ってる姿が愛おしくて。俺を見る目線も、言動も、何もかもがいじらしい。そう考えれば考えるほど、益々顔の火照りは速度を増して。他者からの力が加わらずしも、自分の思考のせいで頭に血が上る結果になってしまっているのだから不甲斐ない。















可愛いが故にいじめたくなる精神というのは、常に俺に備わっていて。相手がジョングクだという状況には尚更、それに抗うようなことはしないんだ。そのせいか、教室のドアを開ける寸前に一言、こう言葉が漏れた。








































🐯 「 ..馬鹿だよな、あいつ 」




































🐯 「 ああいう反応が1番唆られるってのに ㅋㅋ 」














































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