第70話

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2023/12/24 15:14
🐰 「 ってなことがあってさぁ… 俺ほんと幸せだな~って思ったわけ 」















🐥 「 …ほぅ。」















🐰 「 思い返したらさ、俺もちょっと重いかなって思うことだってあるんだよ、」















🐥 「 まぁ、ちょっとというか大分というか、かなりというか… 」















🐰 「 それでも、全部先生は受け止めてくれると言うか、それ以上に抱えきれないくらい俺の事想ってくれてて 」














🐥 「 で、俺の言うことは聞かないのね 」














先日のテーマパークでの一件から、すっかり俺の気分は有頂天であった。唯一俺と先生の関係を知るのはジミナだけだから、惚気話に付き合わせる対象も必然的にジミナとなってしまうのである。気を良くしながら喋る俺を止めることも無く、時々相槌を打ち返してくれるジミナに、朝から俺はずっとこの調子で先生の惚気話を口にしていた。














🐥 「 いいよな〜恋人居るやつは楽しそうで 」













🐰 「 ふふ、まぁな 」















🐥 「 俺も早く彼女家に呼んだりとかしてぇよ〜 」















🐰 「 え、家?」















🐥 「 うんそう、お互い部屋着で、一緒に映画観たりすんの。めっちゃ憧れる 」















🐥 「 ..もしかしてジョングガ、まだ先生の家行ってないの?」















🐰 「 ...せ、先生が来たことはあるけど?...家庭訪問で.. 」














🐥 「 そんなん全然違うだろうが。しかもまだその時付き合ってないだろ?」















🐰 「 そう..だけど... 」













🐥 「 はぁー、絶対行った方がいい。中と外とじゃ全然違うって 」















🐰 「 そうなのかな.. 」













🐥 「 絶対そう!勿体ないって 」














そんな他愛もない話をしていたその時、聞きたくもない噂が耳に入り込んできた。












?? 「 なぁ、聞いたか?」














?? 「 あぁ、聞いた聞いた。ハウン先生とテヒョン先生が付き合ってるってやつ?」














"テヒョン" その名前を耳にする度に、条件反射の如く身体が反応する俺にとって、耳を掠めたその根も葉もない噂は、俺の脳に怒りを誘う要素としては申し分無かった。アホ臭い噂を相手にしてはキリがない。そう分かっているけれど…














🐰 「 は?今何つった 」















後先考えず、噂を口にしていた2人組に突っかかる。














🐥 「 あー、っと、..ジョングガ?落ち着けなー?」















そう俺を宥めるジミナ。しかし1度沸点に達した怒りは収まることを知らなくて。思いが言葉となって、喉から吐き出されるように放出される。














🐰 「 テヒョン先生が何って?」














?? 「 ..え、いや…俺らもあんま知らねぇけど... 2人が仲良さそうに話してたとか何とか.. 」















🐰 「 はっ..なんだよそれ、そんなわけねぇだろ。だって... 」















🐥 「 ジョングガ。もういいだろ 」













そう俺の肩に手を置いて制止するジミナを横目に、今度は一度冷静になる。これ以上は抑えなければならないと本能的に理解できたからか、ごめんと一言呟いて、そそくさとその場から立ち去った。















🐥 「 ...おいジョングガ。あんな噂一々間に受けなくていいっしょ 」















🐰 「 そうだけど...あんな根も葉もない噂、流しとくメリットもねぇし 」















🐥 「 それはそうかもしれないけど..それこそお前が余計な事したら、結局お前ら2人の首絞めることになるんじゃねぇの?」















🐰 「 ... 」















🐥 「 やっぱりさっき言った通り、先生の家とか行ってみたら? 」













🐰 「 なんでジミナはそんなに家にこだわるんだよ 」
















🐥 「 別にこだわってるわけじゃないけど〜、独占欲強めなジョングガからしたら、悪い話では無いと思うわけ 」














🐰 「 は?!誰が 」














そう2人で笑いあっていた時、足元で何かが光っているのが見えた。














🐰 「 ..ん、何だこれ?」










軽く屈み、その何かを手に取る。










🐰 「 ...ピアス?」










そう怪訝そうに言えば、隣でジミナがからかうように口を開いた。










🐥 「 ふっ、いやどう見てもピアスじゃん。..てかこれ、ペアのピアスっぽくない?」










🐰 「 え、ペア?」










そう言って視線をピアスに向けてよく目を凝らすと、中央に花柄の模様が刻まれているのが分かった。










🐰 「 んー、確かに花の模様入ってるけど...なんでこれがペアになるって分かるわけ?」










🐥 「 え?まぁ..勘かなっ 」










🐰 「 なんだそれ 」










すると前の方から、「 あ、それもしかして 」と突然声が掛けられる。驚いて反射的に顔を上げるとそこには










🐥 「 あれ、ハウン先生!」










そうあからさまに目を輝かせるジミナの横で、今1番顔を合わせたくない人物を目の前にした俺は、どこかバツが悪いような気になっていた。










ハウン 「 それ、ちょっと見せてくれる?」










手に持っていたピアスを渡すと、分かりやすいほどにそっと胸を撫で下ろすハウン先生。










ハウン 「 よかった...無くしたと思ってたの。ありがとう、2人とも 」










🐥 「 あ、それはね先生、ジョングガが見つけたんだよ 」










ハウン 「 あ、そうなの?ありがとね 」










そう真っ直ぐ言われれば、何故か脳裏に先生の姿が過る。










🐰 「 ..まぁ、はい 」










すぐさま目を逸らし、その場から立ち去ろうとハウン先生に背中を向け、そそくさと歩き出した。その様子を見て、後ろからジミナが俺の後を追う。










🐥 「 なぁおい、良くないぞ、今の態度 」










🐰 「 あ?別に良くない?」










明らかに苛立っていた俺の様子を宥めるように、










🐥 「 あのさ、ハウン先生に当たったって仕方ないじゃん。ただの噂なんだから。..そんなの、ジョングガが1番分かってるんじゃないの? 」










🐰 「 ..そうだけど、でもなんか...もやもやするし 」











子供のような言い訳を口にすれば、己の器の小ささに余計に嫌気がさし、なんとも不甲斐ない気分になった。まあまあ、と背中を軽く叩いてくるジミナに目を向けて、ジミナの言う通り、出処も分からないただの噂なのだから、と必死に自分に言い聞かせていた。







































終礼が終わり、教卓に立つ先生の様子を伺いながら、先生が教室を出るタイミングをじっと見計らっていた。すると間もなくして、一通り荷物をまとめてドアに向かう先生。その後を付けながら、人気のない廊下で先生の袖を掴んだ。










🐰 「 せんせっ 」










🐯 「 なんだ、さっきからコソコソと 」










🐰 「 あ、バレてたの 」









🐯 「 お前のことは人一倍気にしてるからな 」










🐰 「 え~先生きもいよ 」










🐯 「 あぁ?今なんて 」









🐰 「 ふふ、冗談ですよ、…でさ、あの..さ、先生 」










🐯 「 …何だ 」










🐰 「 急に..その、めっちゃ急で..何って感じだと思うんだけど 」










🐯 「 まどろっこしいな、さっさと言え 」










🐰 「 ん~.. せ、先生の家.. 」










🐯 「 ..ん?」










🐰 「 だからっ...その、先生の家、...行きたい 」










そう伏し目がちに言えば、一瞬時が止まったように静かになる。風が窓を叩く音すらも聴こえる状況に、一滴の汗が背中を伝った。










🐰 「 ...なんてね、へへ 」










沈黙を破るべく、自分の勇気を誤魔化そうとしてしまった。しかし先生は、それすらも分かってるようで










🐯 「 ..なんだ、冗談?いい機会だと思ったんだけど 」










🐰 「 ..え?」









🐯 「 そろそろしたかったんだよ 」










🐯 「 お家デート 」










🐰 「 お、お家、デート... 」









🐯 「 ふっ何、それがしたかったんじゃないの?」










🐰 「 へ、あっ..ま、まぁ...そうなんだけど...いざそれを口にされるとなんか.. 」










🐯 「 ...なぁジョングガ 」










真っ直ぐに見つめてくる先生。それは先生のお得意の表情で










🐯 「 お前...もしかして変なこと想像してない?」











🐰 「 なっ、...ちが、そんな!」









🐯 「 ..ふ、いいよ?やってあげても 」










🐰 「 え、...何を.. 」











🐯 「 到底、外では出来ないようなことで 」










腰に手を添えてくる先生。細いけれど筋肉質なその腕に抱かれる度に、鼓動が高まる。











🐯 「 ジョングガがして欲しいことぜーんぶ 」










🐯 「 俺がしてあげよっか? 」


































































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