ゆっくりと俺の頬から先生の手を離しながら
🐰 「 俺先生から補習受けて、だいぶ心情読み取れるようになったんですよ 」
🐯 「 ㅎ 嘘つけ 」
🐰 「 こう見えても理解は早いんで 」
🐯 「 どの口が言ってんだか 」
🐰 「 じゃあ先生の心情、読み取っちゃってもいいですか?」
先生が話すのを遮りながら言う
🐯 「 …まあ、やれるもんならやってみろ 」
その挑発的な目、相手を嗜めるかのような口角の上がり方
先生の全ての仕草が、本当は内心俺をドキドキさせていた
でもこのまま攻められ続けるのは性にあわない
今こそ先生に勝つ絶好のチャンス
そう考えながら、俺は再びゆっくりと口を開いた
🐰 「 先生は俺に出会って、」
🐯 「 おいおい、結構遡って喋るのかよ ㅎ」
🐰 「 心情読み取りなんですからどこから始めても良いでしょう?」
と言うと、先生は "ああ" と言わんばかりにため息を吐いた
🐰 「 初めて俺を見た時、何かを感じたんだ 」
🐰 「 でも、相手はあくまで生徒で 」
🐰 「 今まで送ってきたモテ人生の中で上位に来るほど、惚れさせるにはなかなかのハードルがあった 」
もはや心情読み取りというよりか、半分以上俺の馬鹿げた妄想のようになっているが、先生は黙って俺の話を聞いていた
🐰 「 だけどこのままでいるのは自分のプライドを欠くことになる、だから変な勝負を吹っかけて 」
🐰 「 ゲームとして俺の方から惚れさせるようにしたってわけ 」
🐰 「 だってゲームとしてなら、教師生徒の関係の中でも、おふざけ程度で惚れさせることが出来るから 」
🐰 「 それに自分なら、簡単に俺を惚れさせることが出来ると思ってた 」
🐰 「 でもそう簡単には行かなかった 」
🐰 「 俺はなかなか惚れる素振りを見せなかった 」
🐰 「 それどころか、」
🐰 「 先生が俺の事を好きになってたんだ 」
あぁ、やってしまった
正直途中から自分は何を話してるのかよく分からなくなり、話の趣旨を完全に見失って最後の最後に有り得ない発言をしてしまった
どうせまた鼻で笑われるんだろ、"馬鹿げた妄想だったな"とか、"そんなどうでもいい話聞くだけ無駄だった"とか言われてさ
もういいよ、どうせ俺は先生には勝てない
背もたれにつけてた背中をゆっくりと離しながら
🐰 「 なんt___ 」
" なんてね " と言いかけた時
先生の手が俺の首の後ろに回され、頭ごとグイッと先生の方に持っていかれる
互いの鼻と鼻の先がくっつきそうな程に顔が近くなり
🐯 「 お前さー色々喋りすぎ、んで当てすぎ 」
🐰 「 せ、せんせ、? 」
🐯 「 ちょっと黙ってろ 」
先生がそういうなり、唇に何やら暖かいものが触れる
その瞬間、俺は先生と唇が重なり合っているのが分かった
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!