~聖ギルティ帝国 宿『竜の巣』~
今日はボクが冒険仲間との絆を誓って1年目だ。
出身国も身分も違う3人の仲間と出会い、寝食を共にして親友と呼べるくらい信頼できる仲になった。
そんな仲間達に、今日はボクが故郷のご馳走を作ろうと思う。
メイド服(普段着)に着替えると、予め宿主(幼なじみ)に頼んで借りていた台所で朝食を作る。
ボクの出身国である聖ギルティ帝国の名産であるソーセージ4種に、ジャガタラの実、チョコレートは数日前に特注しておいたので、料理下手なボクでも美味しそうにできたと思う。
最後にジャガタラの実サラダを作っていると、幼なじみのチェスターが台所の入口で腕を組んでニヤニヤしている。
差し出されたのは、白い封筒に圧力でカラスのシルエットを浮かびあげたものだった。
宛先所か、何者が送ったのかすら分からない。
ートントントン
直ぐにドアが開いた。
ブショーは変わった1面があるものの、武闘家だからか早寝早起きで礼儀正しい紳士だ。
背が高くて筋肉質、声、顔、性格が男らしいので、正直羨ましい。
さすがブショー。
もう身支度を整えている。
ボクから奪うようにナイフで開封して手紙を読む。
目を見開き、手が震えている。
ブショーは”転移の羽”のみ複数持つと、ボクを優しく押しのけて急いで居間の暖炉に手紙を捨てた
。
そのまま転移してしまい、ボクはその場に立ち尽くすしか無かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。