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第1話

1章 白いカラス
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2020/03/31 21:00
~聖ギルティ帝国   宿『竜の巣』~

グレン
グレン
ん~…もう朝か………って、2度寝している場合じゃなかった!
今日はボクが冒険仲間との絆を誓って1年目だ。
出身国も身分も違う3人の仲間と出会い、寝食を共にして親友と呼べるくらい信頼できる仲になった。

そんな仲間達に、今日はボクが故郷のご馳走を作ろうと思う。
メイド服(普段着)に着替えると、予め宿主(幼なじみ)に頼んで借りていた台所で朝食を作る。

ボクの出身国である聖ギルティ帝国の名産であるソーセージ4種に、ジャガタラの実、チョコレートは数日前に特注しておいたので、料理下手なボクでも美味しそうにできたと思う。

チェスター
チェスター
おはようグレン。
…お、ちゃんと手を切らずに野菜を切ってるな!
最後にジャガタラの実サラダを作っていると、幼なじみのチェスターが台所の入口で腕を組んでニヤニヤしている。
グレン
グレン
おはようチェスター。
当たり前だろ?
ボクをなんだと思ってるんだよ。
チェスター
チェスター
農家出身のクセに、
ジャガタラの実に逃げられて小学校の調理室を自身血で染めた奴
グレン
グレン
うぐぅ!?
(否定できねぇ…)
チェスター
チェスター
昔から教えた甲斐があって嬉しいけど、油断しないでくれよ?

ところで…今朝、こんな封書が届いたんだが…心当たりないかい?
差し出されたのは、白い封筒に圧力でカラスのシルエットを浮かびあげたものだった。
宛先所か、何者が送ったのかすら分からない。
グレン
グレン
いや…ボクの仲間に聞きたいから、預かっても良いかな?

.。oO( 白い封筒…カラス…シルギア連合王国の旗か?

とりあえず、シルギア出身のブショーに聞いてみるか…)
ートントントン
グレン
グレン
ブショー、起きてるかい?
直ぐにドアが開いた。
ブショーは変わった1面があるものの、武闘家だからか早寝早起きで礼儀正しい紳士だ。
背が高くて筋肉質、声、顔、性格が男らしいので、正直羨ましい。
ブショー
ブショー
おはようグレン。
朝から部屋を訪ねるなんて珍しいな
さすがブショー。
もう身支度を整えている。
グレン
グレン
宿にこんな封書が届いたんだけど、何か知…
ブショー
ブショー
!?
中身を確認させてくれ!
ボクから奪うようにナイフで開封して手紙を読む。

目を見開き、手が震えている。
ブショー
ブショー
グレンすまない。これから数日パーティーから抜ける。
グレン
グレン
えっ…!?待って!!
ブショーは”転移の羽”のみ複数持つと、ボクを優しく押しのけて急いで居間の暖炉に手紙を捨てた


そのまま転移してしまい、ボクはその場に立ち尽くすしか無かった。

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