魔獣の革で作られた革ジャン(王の希望で普段着で来るように言われてた)をめくり、桜の紋章を見せるイクミンの顔は、30歳分成長したかのように凛々しかった。
~王城 儀式の間~
イクミンの首飾りが赤く光り、白い壁に草原が映し出される。
イクミンのステータスを見ると、強力な魔法を連発しているようにMPがゴリゴリ削れていく。
赤い光線のみと映像を写すのでは、こんなにも消費魔法に差があるとは…!
.。oO(モッチィ…泣いているのか?)
音声に耳を傾けると、若い男が1人で強敵と戦いながら指輪の素材を集めているのがわかった。
酒場で錬金鍋を使って博愛の指輪を2つ作ると、カリカリと名前を刻み、別の場所で待たせていた男の名を呼んだ。
ホイッスルで汽車呼び、移動すると木が風で揺れる音がする場所に到着したようだ。
風の音にパカッという音が重なる。
守護天使は礼を言うと、世界樹に祈りを捧げて実った実を食べる。
.。oO( ん…?この守護天使、ウィルには”仲間の絆を深めるためとMPの受け渡しのために”ペアの指輪を渡したって事?
んで、人間の娘と付き合いたいから人間になりたがってたのか…
うわー…めちゃくちゃベロチューされてかわいそうに。(他人事))
第三者の魔法使い「法的効力が無くなりますが、よろしいですか?」
吐き気を堪えるような嫌そうな声で言われたモッチィは黙ってしまう。
守護天使の悲痛な叫びを聞いて1時間、ウィルに愛を囁かれたエリックは泣き声で神の国に向かった。
堕天使の激しい爆発攻撃に対し、
ウィルの援護魔法と元守護天使のフォースにより、とうとうエルギオスを弱らせることが出来た。
霊体となった恋人に真実を知らされ、元の姿に戻った大天使は、恋人と共に死の国へ旅立つ。
役目を終えた他の天使は星となり、
エリックとウィルは汽車で地上を踏みしめて、ダンジョンに潜む害モンスターを倒す旅に出た。
第三者の魔法使い「証拠に必要な時間分の映像を拝見しました。
物念を解除して結構です。」
イクミンは手を下ろすと、膝を折って俺に体を預けた。
その場に立ち会った人間から拍手をされるモッチィだったが、その顔は曇っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。