ふぁあ~…。
おはようございますグレン…。
クンクン…またブショーさんに朝食のダメ出しをされたんですか?
イクミンは眠たそうにモコモン風のモコモコパジャマ姿のまま通路に出てきた。
なんでだよ…ボク達仲間なのに、なんで黙って行くんだ!?
ボクはイクミンに構う余裕もなく、共有の道具袋を探る。
移動の翼が全部無い…!?
ブショー…ボクが追いかけないように…!?
…何があったか、話してくれませんか?
イクミンは真剣な顔で、震えるボクを食堂に促した。
こっそり様子を伺っていた聖装束姿のモッチィも席に着き、ボクの説明を聞く。
なるほど。それで暖炉の傍にこの封筒が落ちていたんですね。
イクミンは世界地図を取り出し、封筒に右手をかざすと呪文を唱える。
我は受取人を探す者なり。
我の声に答え、我に主の行先を示したまえ!!
イクミンが肩身離さず着けている針状の首飾りが赤く光だし、赤い閃光が地図に当たる。
シルギア連合王国・国王都フェリア…!
そこにブショーがいるんだな!?
イクミンはドヤ顔しながら頷いた。
ウザさいというよりはかわいらしい。
凄いなイクミンは!
こんな魔法初めて見たよ。
なんという魔法なんだ?
ボクの胸くらいの背しかないイクミンの頭を撫でると、嬉しそうに嫌がる。
”サイトレイラー”という、物念を利用する魔法です。
高等魔法なので使える魔法使いが少なく、探偵や裁判に重宝されてるんですよ。
使用料も万単位かかるのですが、
グレンは我の彼氏なので、特別にブショーの分の朝食で我慢してやりますよ。
誰が付き合うと言った同性愛者!?
ギルティの料理を気に入ってくれて嬉しいけど、元々食が細いんだからあまり食べ過ぎるなよ?
ツンデレしてないで、ブショーを追いかけるわよ!
.。oO( モッチィ、なんで虫の居所が悪いんだろう…?)
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!