イクミンは自身の包帯で包まれた右手首を見る。
イクミンが使ったのは…恐らく即死魔法だろう…。
だがしかし、身体が同級生より貧弱だったイクミンができた攻撃方法は限られていたし、イジメの加害者が生きていた場合、イクミンかアストラさん…または両方に更なる被害が出ていた可能性が高い。
”トロッコ問題”と同じように答えが無い…。
リリィの自殺を止められなかったボクには、イクミンを攻める資格はない。
イクミンは辛そうな顔で頷いた。
イクミン♀の目が潤む。
不思議と、イクミンの顔は暗くなかった。
むしろ、”困った奴だ”と苦笑いしている。
キョトンとした顔で頭をかしげる。
ボクは、イクミンが引っ掻いている右手首を掴んだ。
罪悪感に悩まされてるイクミンに必要なのは罰じゃない。
精神的な支えだ。
ボクはイクミンの右手を取って立ち上がる。
ボクはイクミンに構わず、移動魔法を唱えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。