第16話

5章 絆の指輪(エリック目線)
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2020/04/14 21:00
翌朝、イクミンの助けでエリックとしてシセルと和解した。

チェスター
チェスター
なんじゃこりゃ~!?
エリック
エリック
チェスター!?何があった?
チェスター
チェスター
何がって…備蓄庫の食材が食い荒らされてんだよ!

リカントかコボルトか知らんが、捕まえて食べてやる~!!!」
シセル
シセル
すみません…夜中に食べたの…私です…。(ガクガクブルブル)
シセルはチェスターに「暗いところで盗み食いするだなんて、傷んでいるものがあったらどうするんだ!?」

と叱られたのだが、隣でイクミンが父親のように謝っていて微笑ましかった。

~シルギア連合大国     宴会の間前~
側近
側近
”この度は聖剣の脱却だけでなく、
全国の勇者の武器を返却、
行方不明だった勇者・捜査兵の遺骨の提出、
魔王の拠点である一城の破壊をした業績を讃え、国民を代表して礼を申す。
我々が責任をもってあるべき場所に返却するゆえ、ささやかながらシルギア国の美味を集めた食事会を用意させてもらった。
存分に楽しんでいってくれたまえ。”

…と、王が申していた。
シセル
シセル
アレフ、王のモノマネしてから素に戻るの止めないか…?
イクミン
イクミン
そうですよ!
思わず吹き出して、チェスターから貰った”いちごみりゅく”を絨毯に落としたらどうするんですか!?
エリック
エリック
まだ喰ってたのかよ!?
あれほど城の中で飴食べんなって言ってるのに…今すぐハンカチにペッしなさい!
モッチィ
モッチィ
意外ね…。
シルギア王と話せると思っていたのだけど…
シルギア王
シルギア王
( ᐛ👐)バァ
モッチィ
モッチィ
うわぁああああ!?
側近
側近
王に向かって雄叫びを上げて身構えるのはお控え下さい。
エリック
エリック
不意打ちされたら誰でも身構えるわ!!
(武器を城に預けていてよかった!)
シルギア王
シルギア王
すまぬすまぬ。
ブヨルム卿から魔界に行く許可を貰いたい旨はアレフから書類を受け取っているが、
国に貢献した者の話を聞くのも、王の代々続く仕事なのでな。  ご馳走様はあくまで情報料で、
功績に値する褒美は別にあるから安心して欲しい。

…そこの飴を飲み込んでしまった魔法使い君は、後で王室献上品のヌガーをあげるから許して欲しい。
”シルギア王は軽いイタズラをする事で、内心緊張している冒険者の緊張を解き、 目線を合わせている”…

俺はシルギア王に嘘偽り無く話す事を決めた。

その証拠に、王を中心に囲んだテーブルには一人一人の出身地を考慮して、自然に食材や調理方法を変えていたのだ。

(事前にシセルが俺達の情報をアレフさんに教えていたのだろう)

メインで例えると、俺には脂たっぷりのバラ肉と野菜の酢和えに対して、
イクミンの皿にはサッパリ赤身肉と…黄色くて半月型の…なんだろう?
ポリポリと音がして美味しそうだ。
後でイクミンに聞いてみよう。
シルギア王
シルギア王
聖騎士と盗賊に僧侶、魔法使い…。
とても有意義な情報だった!
実録書にまとめて、似たような事態が起きた時の為に参考にさせてもらおう。
デザートの皿が下げられ、シルギア王は満足そうに紅茶を1口飲む。
シルギア王
シルギア王
そろそろ、褒美に何が欲しいのか聞きたいのだが…君達は何を望む?
俺は絆の指輪を眺めた。
呪術の契約を断ち切れる”自由の剣”が飾られていた壁に大事そうに飾られていた桃色の宝石が埋め込まれた4つの指輪には、内側に
”UとEの絆は永遠に”
と彫られていたので、他人のものとは思えなかったのだ。
(比較的新しい2つはシセルとイクミンが着けている)

.。oO( 名前入りの片割れをモッチィに渡したけど…嫌がらなければいいな)
イクミン
イクミン
我は…!
シルギア王
シルギア王
一生分の”いちごみりゅく”だろう?
イクミン
イクミン
それ、半年後にはベタベタになって食べられなくなるやつですよね!?
もう城内で食べないので許してください!
周りにいた護衛兵まで吹き出し、食後の張り詰めた空気が緩まった。
モッチィ
モッチィ
…私は、私の指輪を再び所有させていただきたいです。
笑い声がぴたっと止まり、空気が触ったら切れてしまうほど張り詰める。

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