翌朝、イクミンの助けでエリックとしてシセルと和解した。
シセルはチェスターに「暗いところで盗み食いするだなんて、傷んでいるものがあったらどうするんだ!?」
と叱られたのだが、隣でイクミンが父親のように謝っていて微笑ましかった。
~シルギア連合大国 宴会の間前~
”シルギア王は軽いイタズラをする事で、内心緊張している冒険者の緊張を解き、 目線を合わせている”…
俺はシルギア王に嘘偽り無く話す事を決めた。
その証拠に、王を中心に囲んだテーブルには一人一人の出身地を考慮して、自然に食材や調理方法を変えていたのだ。
(事前にシセルが俺達の情報をアレフさんに教えていたのだろう)
メインで例えると、俺には脂たっぷりのバラ肉と野菜の酢和えに対して、
イクミンの皿にはサッパリ赤身肉と…黄色くて半月型の…なんだろう?
ポリポリと音がして美味しそうだ。
後でイクミンに聞いてみよう。
デザートの皿が下げられ、シルギア王は満足そうに紅茶を1口飲む。
俺は絆の指輪を眺めた。
呪術の契約を断ち切れる”自由の剣”が飾られていた壁に大事そうに飾られていた桃色の宝石が埋め込まれた4つの指輪には、内側に
”UとEの絆は永遠に”
と彫られていたので、他人のものとは思えなかったのだ。
(比較的新しい2つはシセルとイクミンが着けている)
.。oO( 名前入りの片割れをモッチィに渡したけど…嫌がらなければいいな)
周りにいた護衛兵まで吹き出し、食後の張り詰めた空気が緩まった。
笑い声がぴたっと止まり、空気が触ったら切れてしまうほど張り詰める。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。