第10話

#第15話
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2020/11/28 21:29
美波
美波ミナミさぁ~、彼と別れたの


かつて わたしをイジメていた、"美波"は、素知らぬ顔で、綺麗な爪をいじりながら話している。

あなた
…そっか、つぎ早く見つかるといいね…


一刻も早くその場を離れたくて、背を向けて歩きだそうとしたら、パシッと腕を掴まれた。

美波
待ちなさいよ。
あなた
…ッ痛いっ。
美波
ソイツ、別れる前にアタシに何て言ったか、わかる?


『そんなの知らない』と言いたかったのだが、

彼女の、私の腕を掴む手に力が込もって、思うように声が出せない。

あなた
………。
美波
『あそこに良い女いる』よ。
あなた
…それは、彼氏さん最低だね


素直に美波のことを可愛そうと思って、そう言ったら、美波は逆に怒り出した。

美波
『良い女』は、アンタよ!!!!
美波
アイツ、あなたのコトを指差したの!
また人の彼氏うばって、楽しい!?




人の彼氏を奪って、楽しいワケがない。


そもそも、奪おうだなんて思っていないのに…



あなた
…美波さん、私に怒るのは違うよ。
あなた
私はその人になにもしてない。
彼氏さんが、自分で選んだんだよ
美波
そう。謝らないの… そしたら、
許してあげようと思ったのに…


美波は笑顔を消し、ポケットからカッターナイフを取り出した。


あなた
…なにする気?
美波
ふふふ。なんだと思う…?


だんだんカッターナイフの切っ先が近付いてきて、怖さに目を閉じたその瞬間。







ザクッ




あなた
…え…
美波
…ッキャァーーーーーー!!!!


美波は自分で自分の腕を切り、悲鳴をあげた。



体育教師
何ごとだ!?
モブ
すっげー悲鳴 聞こえたんだけど!!


悲鳴を聞き付けた人がどんどん集まってくる。

美波
…早く!!!!カッター持ちなさい!
あなた
…ッなに言って──


美波は私の手に、無理やりカッターナイフを握らせようとする。


いっぱいに出したナイフが私の手にも刺さって、床に2人分の血が溢れだした。

あなた
…ッ痛いっ!離してッ 美波さん──!
美波
先生、助けてッ!美波… この人にやられたの…!


美波が金切り声で叫ぶが、体育教師は保健室の先生を呼びに行ったのか、そこにはいなかった。


モブ
…なんで2人とも血ィでてんだよ
モブ
あなたさん… 刺したってホント?
あなた
…ッちがっ!わたしはやってない…!


美波さんは泣きじゃくっている。


周りから見れば、まるで私が悪者のようだ。

美波
ニヤッ(  サヨナラ。あなた
あなた
…ッさいて…ッ グスッ


足下には、ボタボタと血が溜まっていく。



もう、意識が保てない…。



──そう思った瞬間


うらた
あなた、遅れてごめんッ!
センラ
…ッ、手ケガしてる…


颯爽と現れた2人は、走ってこちらに向かってきた。


うらたんは、録音機を大音量にして流し、センラはハンカチで、私の手のキズを押さえてくれた。

美波
『…ッキャァーーーーーー!!!!』
美波
『…早くッ!!!!カッター持ちなさい!』


美波はうらたんが流した録音機の音声を聞いて、真っ青になっている。

体育教師
…これはどういうことだ。
美波
先生…ッ、ちがッ…コレは…
あなた
…グスッ み…なみ グスッ…


美波は精一杯 言い訳をして誤魔化そうとしているが、私の顔を見て硬直した。


美波
な…によッ!いつもアンタばっかり
可哀想な顔をしてッ!
うらた
当然だ。あなたは悪くないし。
悪いのは、100%お前だろ?
センラ
ケガまでさせて… あなたに謝れ
美波
…ッ!





美波は最後まで私に謝ることはなかった。



何人かの先生に連れていかれるときでさえ、私をギッと睨んでいた。


あなた
………。
うらた
あなた、大丈夫か…?
センラ
やっぱあの女に謝らせよう
あなた
違うの!あの人なら、もう十分、
罰を受けたと思う
うらた
じゃあ涙…なんで止まらないんだ…
あなた
ふぇ?


頬に手を伸ばすと、たしかに涙で濡れていた。

あなた
これは、うらたんとセンラが来てくれて嬉しかったからだよ
あなた
安心して、涙…止まんないや
センラ
…ッ、もうこんな目にわせないから
うらた
絶対。約束するよ!


その後、うらたんとセンラは、私の涙が止まるまで抱きしめてくれた。












あとがき




すっごくカッターキャー難しい(笑)

つぎヒメちゃんよろしくね!


それじゃ、おつりゅう!


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