第13話

12話
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2020/01/12 09:37




翌日の中休み、美桜ちゃんが眉を寄せて
私の手にしている雑誌を覗き込んだ。







今田美桜
今田美桜
あなた、なに読んでるの?
吉川
吉川
え?これ?








月刊空手マガジンの表紙を
美桜ちゃんに見せると、







美桜ちゃんは呆れたように肩をすくめた







今田美桜
今田美桜
あなた、そんだけ可愛い顔してなんで
空手マガジンなんて読んでるの?
吉川
吉川
これ面白いよ?読んでみる?








バタンと雑談を閉じて、美桜ちゃんに
手渡そうとすると、笑顔で
断られてしまった。







残念…







すると、美桜ちゃんが
顔をよせてきた。






今田美桜
今田美桜
あなたもさ、もうちょっと
女子力上げていこうよっ。

彼氏の友達であなたを紹介して
欲しいって人がいるんだけど、どう?







目を輝かせて身を乗り出してきた
美桜ちゃんにタジタジになる。







吉川
吉川
物好きな人もいるもんだねぇ…








美桜ちゃんの彼はうちの高校の3年生







陸上部でキャプテンをしている
凄くカッコいい先輩で







華やかな美桜ちゃんにメロメロだ。







今田美桜
今田美桜
あなた、自分のクオリティの
高さにホント無関心だよね…

あなた狙いの男子、結構多いんだよ?
その気になればあなたなれ
5分で彼氏できるよ?








んん?







5分で出来る彼氏って……??







吉川
吉川
でも私、美桜ちゃんみたいに
綺麗じゃないし。
今まで告白とかなんて
されたこともないし








そう伝えると、美桜ちゃんが
首をひねった。







今田美桜
今田美桜
おかしいなぁ…
吉川
吉川
どうして?
今田美桜
今田美桜
だってあなた、先週のお昼休みに
先輩に呼び出されてたでしょ?
吉川
吉川
うん
今田美桜
今田美桜
先輩、あなたに告るって
彼氏から聞いたんだよね。

あなたが先輩と上手くいったら
ダブルデート出来るって楽しみに
してたのになぁ








そう言って美桜ちゃんは
口を尖らせた。







吉川
吉川
でも、告白なんてされなかったよ?
そういえば、あの先輩
なんの用だったんだろう?
今田美桜
今田美桜
屋上で先輩と話したんでしょ?
吉川
吉川
うん








でも、先輩となんの話を
してたんだっけ?
……はて?







吉川
吉川
あっ!屋上で先輩と話してたら
紫耀がうちの鍵を貸してくれって
屋上まで来たんだ
今田美桜
今田美桜
……紫耀くんが?








それを聞いた美桜ちゃんが
ピクリと眉を上げた。







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