第4話

3話
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2019/11/10 14:41
平野紫耀
平野紫耀
ねぇ、ねぇ、あなたちゃん…








ストラップに手を伸ばした女の子は







ストラップではなく私の人差し指を
ギュッと握って笑っている








くぅ…
癒されるっ!







平野紫耀
平野紫耀
ねぇ、あなたちゃんてばっ!
吉川
吉川
なに?
平野紫耀
平野紫耀
もう、俺の話
全然聞いてないじゃん
吉川
吉川
ごめん、ごめん
なんだっけ?








膨れって面をしている紫耀に
適当に返事を返す。








平野紫耀
平野紫耀
あのさ、昨日サッカー部でさ…








紫耀の話を聞きながら、







目の前の小さな女の子の手のひらを
ぎゅっと握っては放して遊ぶ。







このむにゅむにゅの小さな
手のひらたまらない…







2歳くらいかなぁ…







平野紫耀
平野紫耀
あなたちゃんって、ホント小さい子
好きだよね








つまらなそうに口を尖らせる紫耀に
うんうんと大きく頷く。







一人っ子の私は、毎年、クリスマスや
誕生日の度にプレゼントに
弟か妹を熱望したけれど







残念ながら我が家には
弟も妹もやってこなかった。







今思えばバリキャリのお母さんは
はじめから子供は一人と
決めていたのかもしれない。







代わりにやってきたのは、
隣に引っ越してきた女の子みたいな
顔をした男の子だった







琥珀色のクルクルとした
柔らかい髪の毛に
黒く潤んだ大きな瞳、真っ白な肌







弟と妹がいっぺんに出来たみたいで
嬉しくて仕方なかった。







何でも素直に私の言うことを聞く
紫耀の事が可愛くてたまらなくて
紫耀の面倒を見るのが
何よりも楽しかった。







隣であくびをしている
紫耀を見上げる。







あのちびっこがでかくなったよね…







クルクルだった髪の毛はまっすぐに
なっちゃったけれど琥珀色の
柔らかい髪も、大きな瞳も







ついでに四六時中、私の名前を呼んで
追いかけてくるところも全く変わってない








小さい頃は朝御飯を一緒に食べて
紫耀の着替えを手伝って
紫耀の手を引いて保育園に通った。









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