第116話

真夜中の炭酸(tnyh
42
2023/11/19 08:52
真夜中の炭酸
tn side
アスファルト、コンクリート、くうっと深くなった夜。境目はあやふや、でも知ってるからいける。午後11時だろうと。歩くごとに、寒さも一緒についてくる。昼と夕方のささやかな賑わい、話す声、誰かが作る夕飯の匂い。嗅覚と聴覚が消え去ったこの道は、まるで暗闇のすみか。
片手に持ったコンビニ袋だけではほんの少し、心許ない。じっとしているわけにもいかないので、気休め程度の鼻唄に、ステップを踏んで。足がもつれないように。不安なんぞに。

おぼつかないステップはやがて1人をとらえた。そこだけ街灯が、いやあったんだろうけど、踊ることに気を取られていたから、わかんかったよ。ひかりのほうへ、灯が照らす先へ行ってみる。気づいた。
ああ、もうなんだよ。なんで、そんなに笑いかけてくるの。冬だってのに、蛍が集まるみたいで。すぐに消えちゃうっていうのに。

tn「あれ、ようへいさん珍しいすね? 飯買ってきたんすか? 」


yh「おお、そうそう! 最近運動不足だから歩いて買いに行ったんよ。たなっちは? 」


tn「俺も飯買ってきたところです。完全デブ活メニューすけど笑 」


yh「本当だ笑 唐揚げ弁当に、ポテトにカルピスって、脂肪と糖いっぱいじゃん笑 」


tn「明日バスケやるから実質マイナスなるんですよ 」


yh「バスケの消費、過大評価しすぎ笑 」


tn「そのくらい気合い入ってますからー笑 だから痩せすぎないように…… 」


yh「ふふ、そーだね。痩せすぎないように笑 」


tn「そういうようへいさんの晩御飯は? 」


yh「んーと、ペペロンチーノとレッドブル、それと、サイダー。……飲む? 」


tn「サイダーを? 」


yh「そ、2つあるからさ。飲まない? 久々に 」


tn「いいっすけど……。大丈夫なんですか? 明日もあるのに 」


yh「だからかな。明日も、いつも通りでいるため。隣にいてよ。寂しいから。1人じゃ 」


tn「頼んだら、断らないの知ってるのに。律儀すね。ようへいくんは。とりあえず、今日の夜だけ? 」


yh「うん、今夜だけ 」

tn side
僅かな高揚は虚しさへ。炭酸を飲み歩く今、数歩先歩いてもらう。隣じゃ良く見えないから。

なかったことになるのに。ただの水になるのに。音もなく消えていく。弾けて、上がって。キスをして。からだあわせたら、水は引く。それも、飲み干しておこう。


からっぽだから、炭酸買っとかないと。



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