第112話

おはよう(tiyh
51
2023/10/24 15:36
おはよう

ti side
起こしたのは、朝日でもアラームでもなく、自分だった。比較的体が動きやすくなったとはいえ、肌寒い時間帯。スマホを見たって本来はまだ夢の中なお時間。隣のお眠りさんをおこさぬようにそっーと布団をあとに……はしない。こんな状況、チャンスでしかない。意識がない時のキスなんて……ただの自己満足じゃん思ってたけど、寝てる時にしか伝えられないこともあるわけで。せいぜい、6〜7時間、しかも寝起きなど、数分見れるか、見れないときだってある。そりゃあ、一人占めしたくなるし、布団から離れがたくなるなあ。声が漏れそうになりつつ、左手のひらを、眠り人の側に置き、右手のひら、君の頬に添えて、近寄る、近づく。匂いが鼻と肌をくすぐったところで、彼は目だけを開いた。驚く様子もなく、今度は微笑んで誘いかける。誘われるまま、引き寄せられるまま、重なる唇。皮が剥けたところが擦れ合う。染みるのにやけに甘くて、ぽやぽやして、細胞は張り付いて、忘れなくさせる。浸り切ってしまう前に、隙間を作る。微笑みはまだ残ったままだった。

yh「ふふっ、ガサガサしすぎ 」

ti「……起きてたんすね 」

yh「妙に圧と重みを感じるなと思ったら、押さえ込まれてたから、従ったほうがいいかなと……笑 」

ti「ちょっ、その表現やだな〜。仮にも好きな人に言われるの悲しいです〜 しくしく(涙)」

yh「ごめんごめん。少しからかいたくなっちゃって。許して? 」

ti「うーん……許すしかないですね。これは 」

yh「判決はや笑。てか、とういガチで唇荒れてない? リップ塗らんの? 」

ti「大丈夫です。ここに、最高級クリームあるので 」

yh「それなら貸してよ。俺にも……塗らせて 」


yh side
ちょいひりつくモーニングコール。起こすつもりなどなく、ただただ共にいる何分かを伸ばす。浮かんでこれるかな次は。癖になって浸りきって、このままでも良くなったりして。夢見心地のままで。記憶している。触れて、はがれた部分を覚えとく。治す気もないのに。離れたくないから。調子に乗りそうだから言わないけど。





プリ小説オーディオドラマ