今日は朝から、りいぬとのコラボの歌のレコーディングをしている。
難しい曲で、中々上手くいかない。
るぅととなーくんは、困ったように顔をしかめている。
控え室の扉を開けると、ソファーに寝ているりいぬがいた。
規則正しい寝息をたてるりいぬは、どこからどう見てもやはりかわいい。
遊び心で、りいぬの頬に触れると、んん、なんて甘い声を出す。
今回のレコーディングは、歌が得意なりいぬでさえ、上手くいかないようだ。
流石に限界だと感じたのか、真っ赤の顔をして、「ちょっと、休んでもいい?」と言っていた。
るぅとも控え室にりいぬを連れて行って、中々寝ようとしないりいぬを、寝かしつけているのも見た。
りいぬの細い手足は、俺の心を不安にさせる。
おまけに、目の下の隈。中々作業が終わらなかったんだろう。
頬をつんつんとつついても、りいぬは起きない。
よほど疲れているんだろう。
俺はそっとりいぬの頬にキスをし、控え室を出た。
いま…キスされた!?////
えぇっと、状況を整理しよう。
レコーディングが上手くいかなくて、控え室で寝ていたら、さとみくんが来て…、狸寝入りをしていたら、キスされ…た…、
俺はさとみくんのことが好きだ、勿論、恋愛対象として
けど、同性だし、両想いなんて、ないんだろうなぁとか思ってた。
……のに、キスしたってことは……そういうことなの?
俺は頬に触れた。
好きじゃない相手に…あんなことしないよね。
これが本音、
聞こう、レコーディングの前に、「俺の事好きなの?」って、好きって言ったら、俺も言おう。好きじゃないって言われたら、誤魔化しちゃえばいい。
俺は深呼吸をして、さとみくんの元へ歩き出した。
2人がくっつくまで、あと1分__✨
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。