第2話

┊͙彼氏 ┊͙
260
2018/03/21 09:55
尚人
こんにちは

私が目を覚めて1時間後病室に誰か来た


白衣を着ている


何も思い出せない私には今全部が恐怖になっている
尚人
急に驚かせてごめんね、こういう者なんだ

渡された名刺に物に目を通す


名刺と言っても堅苦しいものじゃなくて逆に可愛らしく動物のイラストなどが印刷されている


名前を1文字1文字読んでいく
なおとさん…?

私が言うと微笑んだ


かっこいい…
尚人
【なおひと】って言うんだ
精神科医の一条尚人です
君のカウンセリングを担当します
名前を間違えてしまったことに申し訳ない気持ちになる


カウンセリング…


記憶を戻すために必要な事らしい


私も早く記憶を戻したい
尚人
交通事故に遭ったこと覚えてる?

交通事故……


首を横に振った


何も分からないことになぜか罪悪感が出た
尚人
じゃあ自分の名前は?

また首を横に振った


すると先生は白衣のポケットから小さな紙とボールペンを出して何かを書き始める


左利き何だなと頭の片隅で思った
尚人
はい、これが君の名前

紙を見る


【川上雫】そう書いてある


私の名前は川上雫、それさえも分からなかった
尚人
無理に思い出さなくても良い
ふとした時に思い出す時もあるから

どうしてこんなにも優しく声をかけてくれるんだろう


カウンセリングの先生だから?
雫!

先程わかった名前をドア付近で呼ばれ見るとまた知らない男性


男性は近付いて私の顔を見た
雫、大丈夫か?
事故にあって記憶が無いって……
あ……えっと……

話しかけられ誰かもわからないため言葉が詰まった


男性は息切れをしていて冬だと言うのに汗もかいている


それほど走り続けてここに来たのかな


誰のために__?
輝瑠
そっか…記憶が…
オレは輝瑠

ヒカルさん…
輝瑠
俺達は付き合ってたんだ
……え…

付き合ってた?


私とこの人が…?
尚人
輝瑠さん、彼女さんの事でお話があるのでついてきて貰えますか
輝瑠
はい、話し終わったらまた来るから

私に言って廊下に出ていってしまった


また誰もいなくなった病室


私は川上雫で交通事故に遭った…そして記憶喪失…


何も思い出せないことから記憶喪失になった事は確かだ


ここは病院だけどどこの病院?


なんて言う街?


何県?


怖い…


私だけ取り残されたみたいになる


早く……早く思い出したい
いた…っ!

何かを思い出そうとすると頭がひどく痛くなった


思い出したいのに思い出せない


それがツラい


頭とは違う痛みも来て痛みの場所を探してみると足にあった


ガーゼが貼ってあって痣もあった


交通事故で出来たのかな…


暫くしてヒカルさんと先生が戻ってきた


時計を見ると30分経っていた
輝瑠
傷痛くないか?
は、はい
尚人
車に轢かれそうになった時避けれたんだけど体制を崩して酷く頭を打ったらしくて、それで記憶喪失になったと考えられます

車には轢かれてないから軽傷で済んだんだ…


良かった…
尚人
傷自体は大したことないので退院は明日には出来ます、ただカウンセリングを週に2回受けないといけないんだ

カウンセリングを週に2回、大変そうだけどこれも記憶を戻すため


私は承諾をした
あの…
尚人
ん?
私に家族は居ますか…?

家族が居るならお見舞いに来るはずだ


でもそういった人は見ていない
輝瑠
お前は…雫は母子家庭で育って母親は去年亡くなっている
そう…なんですか……

普通は悲しむ所のはずだけど私は不思議な気持ちだった


覚えてないから?


ただ、家族は居ないってことがわかった
尚人
それじゃ明後日にまた来てね
受け付けの仕方は彼氏さんにか看護師に教えてもらってね
お大事に
ありがとうございます…

先生が出ていってヒカルさんと2人きり


ヒカルさんは近くの椅子に座った
輝瑠
何も思い出せなくて不安だろうけど俺がサポートするから
ありがとうございます
あの、ヒカルさんは漢字どう書くんですか?
輝瑠
俺?
俺は__

先生が書いていった紙に自分の名前を書いた
輝瑠
これ

【輝瑠】漢字でそう書くんだ


名前がキレイだな…
私、頑張りますね記憶を戻すの
輝瑠
おう、一緒に頑張ろう



ここからまた記憶を戻すために頑張ろう




尚人
……

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