翌日退院となって自分の家に案内された
マンションだ
案内されるまで知らない街や知らない人ばかりで恐怖は治まらなかった
だけど1つだけは覚えていた事がある
それは、私の好きな食べ物
優しい人
記憶を失くす前の私はこの人の優しさに惚れたのかな
早く思い出さないとこの人にも失礼だ
頭に手を置かれて
そう答えた
懐かしい……?
違和感を感じた
その原因は何かはわからない
自分の家なのに部屋などを案内されてこの人はよく知ってるからよく来てたのかな
それもそうか、彼氏なんだから…
恋人に忘れられるってどんな気持ちなんだろう
やっぱり相手にとってはタメ口がいいのかな
タメ口だったのにいきなり敬語になるんだもんね…
昨日渡された携帯は少し傷が付いてきて画面が割れていた
だけど、使うぶんには問題ないみたい
ボタンを押すとパスコードを入力しないといけないらしくでもそれも忘れてしまった
私の携帯のパスコードの所に入力してくれると解除されたのか画面に色んなものが出てきた
四角のものばかりだ
輝瑠さんはそのまま緑の四角のものをタッチすると画面が緑になってそこから不思議なものが表示された
いつでも…?
それから外が暗くなるまで携帯の使い方やお風呂掃除の仕方、忘れてしまった事すべてを教えてもらった
SNSのトーク履歴をみれば何か思い出すだろうと言う提案に読んでみても何も思い出せなかった
分かったことは記憶が失くなる前私は元気で明るい人だと言う事
グループと言うものを見てみるといつも中心的に話している
楽しかったんだな…この時…
色んな履歴を見てみると目に止まった人がいる
おじいちゃんって私が決めたのかな
わ、それで若い人だったら申し訳ないな…
少しして輝瑠さんが夜ご飯を買ってきくれた
おやすみと言って輝瑠さんは家から出た
静かになった部屋で何か音を出そうと教えて貰ったテレビのリモコンの電源を押した
23時を回ると私は布団に横になった
明日も何も思い出せなかったらどうしよう
怖い…怖い…
…あれ、なにこれ…
誰……
脳裏で誰かの声
私前にもこんなことあった……?
輝瑠さんなの…?
また頭痛
何か思い出そうとすると何で頭が痛くなるんだろう
だけど私は脳裏で浮かんだ言葉の通り違うことを考えた
そのおかげで私は朝までぐっすりだった___
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!