第3話

┊͙誰かの声 ┊͙
237
2018/03/22 02:10
輝瑠
ここが雫の家だよ

翌日退院となって自分の家に案内された


マンションだ


案内されるまで知らない街や知らない人ばかりで恐怖は治まらなかった


だけど1つだけは覚えていた事がある


それは、私の好きな食べ物
誰もいない…?
輝瑠
1人暮らしをしてたんだ
1人で不安なら俺も泊まってやろうか?

優しい人


記憶を失くす前の私はこの人の優しさに惚れたのかな


早く思い出さないとこの人にも失礼だ
大丈夫です
でも洗濯の仕方とかも忘れてしまったので…教えてください…

頭に手を置かれて
輝瑠
当たり前だろ

そう答えた


懐かしい……?


違和感を感じた


その原因は何かはわからない


自分の家なのに部屋などを案内されてこの人はよく知ってるからよく来てたのかな


それもそうか、彼氏なんだから…


恋人に忘れられるってどんな気持ちなんだろう
輝瑠
これが洗濯機、洗剤とか柔軟剤の量は後ろに書いてるからこの通りすれば大丈夫
そんで入れたらここ押すだけ
ありがとうございます
輝瑠
タメ口でいいよ、その方がラクだし
あ、うん

やっぱり相手にとってはタメ口がいいのかな


タメ口だったのにいきなり敬語になるんだもんね…
輝瑠
携帯の使い方わかるか?

昨日渡された携帯は少し傷が付いてきて画面が割れていた


だけど、使うぶんには問題ないみたい


ボタンを押すとパスコードを入力しないといけないらしくでもそれも忘れてしまった
輝瑠
確か自分の誕生日じゃなかったっけ
自分の誕生日覚えてるか?
ううん…
輝瑠
5月5日だから…えーと

私の携帯のパスコードの所に入力してくれると解除されたのか画面に色んなものが出てきた


四角のものばかりだ


輝瑠さんはそのまま緑の四角のものをタッチすると画面が緑になってそこから不思議なものが表示された
【友だち】…?
輝瑠
あぁ、それはここに表示されてるやつとか連絡が出来んの
通話とかもできるから

いつでも…?
輝瑠
不安で仕方なかったら電話して
うん、ありがとう

それから外が暗くなるまで携帯の使い方やお風呂掃除の仕方、忘れてしまった事すべてを教えてもらった


SNSのトーク履歴をみれば何か思い出すだろうと言う提案に読んでみても何も思い出せなかった


分かったことは記憶が失くなる前私は元気で明るい人だと言う事


グループと言うものを見てみるといつも中心的に話している


楽しかったんだな…この時…


色んな履歴を見てみると目に止まった人がいる
【おじいちゃん】…
輝瑠
…友だちのあだ名だろ多分

おじいちゃんって私が決めたのかな


わ、それで若い人だったら申し訳ないな…





少しして輝瑠さんが夜ご飯を買ってきくれた
輝瑠
記憶が失くなる前に食ってたものを買ってきたから食えるとは思うけど食えないのある?
ううん、ないよ
何から何までありがとう
輝瑠
いいって、それじゃ俺帰るけど大丈夫?
うん
輝瑠
また明日来るから
おやすみなさい

おやすみと言って輝瑠さんは家から出た


静かになった部屋で何か音を出そうと教えて貰ったテレビのリモコンの電源を押した


23時を回ると私は布団に横になった


明日も何も思い出せなかったらどうしよう


怖い…怖い…
〝雫、怖い時は何か違う事考えてみよう〟

…あれ、なにこれ…


誰……


脳裏で誰かの声


私前にもこんなことあった……?


輝瑠さんなの…?
っつ…

また頭痛


何か思い出そうとすると何で頭が痛くなるんだろう


だけど私は脳裏で浮かんだ言葉の通り違うことを考えた



そのおかげで私は朝までぐっすりだった___

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