第7話

┊͙戻っていく┊͙
188
2018/03/28 13:17
輝瑠
雫!

迎えに来てくれた輝瑠さんが私の所へ来た
いつもお迎えありがとう
輝瑠
いいって
…それなに?

手に持った紙袋をさしている
一条先生からハーブティーを貰ったんです
輝瑠
…そっか

あれ?


何だか不安そうな顔…


私また何かしてしまったかな
輝瑠
帰ろう

首を縦に振った




………
輝瑠
………

歩き始めてからずっと無言なままだ


無言も気まずい…


いつもは話しかけてくれるのに今日はどうしたんだろう
輝瑠
は、はい!
輝瑠
何でビビってんだよ

笑って大丈夫だよと手を頭に置かれる


輝瑠さんのことを好きになったわけじゃないけどこうやって頭を撫でられると落ち着く


人として輝瑠さんのことは好き、でもそれだけ
輝瑠
あの先生の事気になるのか?
え?!

気にならないと言ったら嘘になる


もちろん気になっている


だって、違和感がある
あの、分からないなら良いんだけど私と一条先生って私が記憶失くなる前に会ったことある…?

輝瑠さんは思い出そうとしてくれているのか考えている


もし会ったことがあるなら彼氏の輝瑠さんにも話しているはずだ


それにしてもやっぱり彼氏ってフレーズに慣れないな…
輝瑠
…さぁ、聞いたことないな……
そう、だよね…
やっぱり私の勘違いなのかな
輝瑠
それより何か食べるか?
そうだね

今わざと強引に話変えられた…?


公園に入ってアイス買ってくると言われベンチに座ることにした


輝瑠さんは私が記憶が戻る事に反対なのかな…


アイスを買ってきた輝瑠さんは私の分も買ってきてくれて受け取った


バニラアイスで美味しそう
あ、お金…
輝瑠
いらねぇよ
ありがとう

輝瑠さんはチョコアイス


スプーンで掬って口に運ぶととても美味しかった
美味しい、濃厚だっ
輝瑠
雫、ここのアイス好きだったから

そうなんだ


どうりでまた食べに行こうって思ったはずだ
輝瑠さん私が診察中どこに行ってるの?
輝瑠
ん?
あぁ、買い出しだよ
俺もひとり暮らししててこっから近いから
え、そうなんだ!

私のお世話もして買い出しもしてって負担かけすぎてるかな…
私もう病院行けるし受付も出来るから1人で大丈夫だよ
輝瑠
俺が一緒に行きてぇの
心配だから

輝瑠さんは優しい


でもたまに怖い時がある


さっきみたいに表情が変わったり強引になったり
輝瑠
記憶失くしてこの街にも慣れたか?
うん、まだちょっと不安な所はあるけど…

一週間前と比べたらだいぶ慣れてきた


空を眺めて雲を見る


色んな形の雲


…あ。あれはケーキみたいな形だ
貰ったハーブティー飲むの楽しみ
輝瑠
ハーブティー好きだもんな
うん、いい香りがして大す___
〝雫はハーブティーがホントに好きだね〟

またあの頭痛だ


痛さで自然と手を頭に添えていた


それに気付いた輝瑠さんがすぐに心配してくれた


〝俺はお前が好きだ〟
〝もうほっといてよ!〟
〝ご、めん…なさい…〟


ごめん…なさい…


あれ、あれ…


これ……
輝瑠
っ、雫___

輝瑠さんの声に気付いて振り向くと腕を掴まれいきなり輝瑠さんの顔が近づいてきた


え…
や、輝瑠さん…!

急な事で必死に抵抗した


何で突然…!!
輝瑠
雫、雫…

怖い……


振り解こうにも輝瑠さんの力には敵わなくてどんどん近付いてくる


誰か、助けて___

プリ小説オーディオドラマ