逆巻家にある手紙が届いた。
差出人は神無月家から
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逆巻家には代々世話になった。
今度こそお前達を殺す。
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という内容だった。
その手紙の裏には
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ちなみにお前達の姫は邪魔だ。
すぐに消してやる。
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と書かれていた。
次の日、家でお茶をしていた時だった。
ユイは紅茶を飲んで美味しいと言う。
ユナは良かったと言い、自分も紅茶を飲んだ。
ガシャンッ
ユナは急に苦しみ出して、紅茶を落とした。
椅子から滑り落ちるように倒れ込み、喉と胸元を抑えている。
呼吸音が弱々しくなっていく。
顔も青白く、手足は麻痺している。
コクリと力なく頷くと、ユナはゆっくりと目を閉じた。
この毒は、神無月家が仕向けたものだった。
1週間後に目を覚ましたユナは衰弱しきっていた。
苦しそうに息をするユナは常に朦朧とする意識の中、必死に命を繋いでいた。
だけど、次発作があれば確実に死んでしまうと予想される。
どうか落ち着くまで発作が起きませんように。
それが、今の逆巻家たちの願いだった。
だけど、そんな願いも虚しく…
酸素マスクが一瞬にして赤にそまる。
震える手で酸素マスクを外し、体を横に向けて血を吐く。
みんなが呼んでる。
声が出せない
大量の血が口から溢れた。
ユナは目を閉じ、ぐったりとしている。
返事はない
脈を測ると、動いていない。
呼吸もしていない
手も、冷たい
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。