第14話

668
2021/03/06 05:12
貴方side
文化祭マジックなんて嘘。

もしくは夢。

もしくは妄想。
小瀧望
小瀧望
…あなた!
あなた

…なに。

小瀧望
小瀧望
俺、彼女できた!!
あなた

うそ!誰!?

小瀧望
小瀧望
3年のリカ先輩!
あなた

え、
今年のミスで選ばれた人?

小瀧望
小瀧望
んふふ
その人。
……もしくは美男美女に限り発生する
イベントなのかもしれない。
小瀧望
小瀧望
あなた?
しげに会えたん?
あなた

演奏は聞こえた。
教室から。

小瀧望
小瀧望
はぁ!?
見に行かんかったん!?
あなた

あーのーねー!
どっかの誰かさんが
部活の出店に引っ張りだこで
私みたいな暇人が変わりに
教室で展示案内してたんです!!

小瀧望
小瀧望
こっわ笑
自分顔怖いって!笑笑
笑い事じゃない。
私の青春の1ページになるはずだった大イベントの
文化祭は見事に残念なものになってしまった。
のんちゃんの甘酸っぱい青春と引き換えに。
小瀧望
小瀧望
しゃーないな。
ほれごみ捨て変わったるから
行ってこい。
あなた

はい?

小瀧望
小瀧望
ごみ捨て場に居るの
あれしげちゃう?
あなた

………行ってきます!!

小瀧望
小瀧望
……アホやな、ホンマに。
ゴミ箱を抱えて急ぐ私は
のんちゃんのそんな声は聞こえなかったし
のんちゃんがどんな顔をしてたかも
もちろん、見てなかった。





















あなた

先輩!こんにちは!

重岡大毅
重岡大毅
おぉー!
なんか久しぶりやな?笑
運良くゴミ捨て場には
まだ先輩がいて。
からになったゴミ箱を片手で抱えていた。

それすらもかっこいいと思ってしまう私は
本当に好きなんだなって。
重岡大毅
重岡大毅
文化祭、どうやった?
あなた

ぼちぼち楽しかったです。

重岡大毅
重岡大毅
模擬店やるようになったら
もっと楽しいで〜!
って笑って、
ゴミ箱をひっくり返して椅子みたいにして
そこに座った。
重岡大毅
重岡大毅
俺らの演奏ちゃんと見たんやろうな?
あなた

教室にいたので
音は聞こえましたよ。

重岡大毅
重岡大毅
はぁ!?
お前、見てへんの!?
あなた

展示案内と時間被っちゃって…。

私だって本当は見たかったって
素直に言えてたらどんなにいい事か。
重岡大毅
重岡大毅
やーかーらー!!
この前も言った通り
軽音入れって言うとるやん!
濵ちゃんと照史は3年で
もう卒業やからバンド入れや〜!!
入部届け貰ってくるわ!!!
なんて行って本当に行きそうになる先輩を
慌てて止めた。
あなた

…あの、本当は
言いたくなかったのですが。

重岡大毅
重岡大毅
なんや?
あなた

……私、部活入ってます。

重岡大毅
重岡大毅
………え?嘘やろ?
この前……あれ?え?は?
あなた

入ってます。
ってか、入りました。
………料理部。

重岡大毅
重岡大毅
ほぇ!?
でも、模擬店におらんかったやん!
あなた

模擬店は基本2年生なんです。
1年は裏で焼いてました。

重岡大毅
重岡大毅
はぁーーーー。
って見開く目の大きいこと。笑
重岡大毅
重岡大毅
料理部って言ったらあれやん。
好きな男に部活中ケーキ届ける
やつやん。
あなた

作ったら基本
その場で食べるので
届けることは滅多にありません。

重岡大毅
重岡大毅
夢ないなぁ。笑
って可笑しそうに笑う。
あなた

……すみません。

この一言で会話が終わっちゃった事に
とても後悔した。
重岡大毅
重岡大毅
文化祭の演奏な?
濵ちゃん動画に纏めてもらったんよ。
見る?
あなた

…え、いいんですか?

重岡大毅
重岡大毅
おう。
せやけど俺もう教室帰んねん。
やから、ほれ。
って、スマホを出してくる先輩。
どうしたらいいのか分からず
手に取ろうとした頭を軽く叩かれた。
重岡大毅
重岡大毅
アホか笑笑
誰がスマホやるかいな笑笑
連絡先教えろって。
後で送っとくから。
あなた

……あ、すみません。

ねぇ、のんちゃん。

さっきはごめんね。
今度何か奢ってあげなきゃね。

ちょっとお高いアイスでも。



私にだって十分すぎる文化祭のマジックが起こった。


携帯の上に新しく追加された先輩の連絡先。
私は嬉しくて笑顔が溢れた。

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