第5話

767
2021/02/26 08:48
貴方side
入学式から1ヶ月経ったある日。
私もクラスに馴染んで沢山の友達ができた。
体育の授業の後元々持ってきていた水筒のお茶を
切らしてしまい、財布を持って昇降口の近くにある
自動販売機の前に立ち
どれを飲もうか迷っていた時
重岡大毅
重岡大毅
あれ!
神ちゃんの妹さんやん〜!
特徴的な声でもう後ろを振り向かないでも
分かってしまう。
私が振り向かなかったからなのか
先輩は私の隣に立った。
あなた

……しげ先輩。

重岡大毅
重岡大毅
そうそう!
しげ先輩でーす!
小瀧とうって違うな〜!笑笑
あれ?1人なん?
友達おらんの?小瀧は?
あなた

…友達もそれなりにいます!
のんちゃんは先生に呼ばれてました。

重岡大毅
重岡大毅
ふ〜ん、そうなんや笑笑
ふと隣を見れば
先輩はネクタイを少し緩めて第1ボタンを外して
袖のシャツをまくっていた。
重岡大毅
重岡大毅
今日暑ない?
あなた

暑くないです。
先輩だけですよ。笑

重岡大毅
重岡大毅
えぇー、まじ?
あ、そうや。
なぁ部活入ってんの?
あなた

入ってないですよ。
…そもそも入る気もなくて。

重岡大毅
重岡大毅
えぇー!そうなん!?
じゃ、俺らの部活も入らん感じやんな?
あなた

……そうですけど、

重岡大毅
重岡大毅
……やんな〜!
うわぁーー!
あなた

ちょっ、どうしたんですか?

重岡大毅
重岡大毅
いや、あんな!
って言いかけていた時後ろから先輩を呼ぶ声が
聞こえた。
藤井流星
藤井流星
まだ〜?ジュース。
重岡大毅
重岡大毅
悪ぃ悪ぃ。
今買うねん。
藤井流星
藤井流星
おぉ〜、妹ちゃん。
…私にも一応名前あるのにな。

そりゃそうか、同じバンドの妹なら
誰だって名前じゃなくて妹ちゃんってなるよな…。
あなた

……ど、どうも。

藤井流星
藤井流星
しげ、俺これ。
重岡大毅
重岡大毅
お前、高いの選ぶなや!!
俺今金欠やねん!!
先選ばないん?
あなた

…あ、いや…まだ決まってないので
どうぞ!

重岡大毅
重岡大毅
ごめんな?
おおきに。
先輩に場所を譲って先に買わせてあげる。

後ろでまだ何買おうか悩んでいたけれど
前の先輩たちは直ぐにお金を入れてボタンを押して
あっという間に買い終わってしまったから
まだ決まってないのに…なんて
思っていたら
目の前に真新しいペットボトルが
差し出されていて誰だって思って
上を見ればしげ先輩の腕が伸びていた。

先輩の手には私もよく飲むお茶。
どういうことか分からず先輩を見つめていたら
重岡大毅
重岡大毅
……妹ちゃんにはこれがええと思うで。
って言いながら私の手に乗せたしげ先輩。
あなた

……そんな、でもお金っ!

重岡大毅
重岡大毅
かまへん!かまへん!
いつもお兄ちゃんと仲良くさせて
もらってるんやから
そのお礼って言うか…なんて言うか…。
……それに、なんか
これからも長い付き合いに
なりそうやから、よろしくなって
言う意味でも貰ってくれ笑笑
あなた

……わざわざ、すみません。

重岡大毅
重岡大毅
ええってそんなん。笑笑
小瀧以外の後輩できて
俺も嬉しいからさ笑笑
目の下に笑窪を出しながら笑う先輩。

先輩の笑顔は本当に可愛いなって…。
あなた

……ありがとうございます。

お茶を受け取ればまた笑ってくれた先輩。
重岡大毅
重岡大毅
……気ぃつけてな。あなたちゃん。
あなた

……えっ?

重岡大毅
重岡大毅
行こ〜、流星!
さり気なく私の名前を呼んだしげ先輩。

女扱いに慣れているのか
はまたま私がそんな素振りや顔を見せて
しまったのか……。


どっちか何も分からなかったけれど
でも何故か嬉しかったっていうのは
変わらなかった。





















今思い返せば
先輩からだったね。
先輩が最初に私の名前を呼んだんだよ。
しかも今となっては考えられない
「ちゃん」付で呼ぶの。

でも
それが嬉しかったのは言わないでおくよ。
先輩だったから、良かったんだ。

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