貴方side
昨日の出来事から1夜明け
今は中間先生の英語の授業中。
窓側の私は時々グラウンドで体育をやっている
男子たちを見てたりする。
今日はどこのクラスかなって
シャーペンを持ったまま外を見れば
楽しそうにハードルをやっている男子たち。
ジャージの色が私たち1年生と違うから
きっと先輩。
智にぃやしげ先輩の2年生は紺色。
私たちは赤色。
外で体育をやっている人達のジャージの色は
紺色だから2年生。
先輩はいるかな?
智にぃいるかな?
なんて思いながら外を見れば
ハードルの列に並んでふざけあっている先輩と
智にぃ。
あ、次しげ先輩の番だ。
先生の合図で走り出すしげ先輩。
ハードルも次々に飛び越えていったしげ先輩は
圧倒的に早かったな。
もうちょっと見たかったなって
私、何思ってるんだ。
これ以上見てたらまた変なことを考えてしまう。
授業に集中するためにも
私はまた前を向いてノートを書いていった。
50分授業もあっという間に終わって
今はもう帰りの支度中。
特に智にぃとも待ち合わせしてないから
先に1人で帰ろっかななんて思っていたら
ジャケットのポケットの中に入っていた
携帯が震えて携帯を出せば智にぃから
連絡が入っていた。
要件は緊急部活やから先に帰っといてとの事。
戸締り等に気を付けて!なんて書いてある。
過保護っちゃ過保護。
でもそのおかげで沢山守られてきた。
のんちゃんと帰る約束をして
帰りのHR中に聞こえてきた先生の声。
机にぐでーんと伏せてしまったのんちゃん。
確かにこれは辛い…。
帰りのHRもそんなのんちゃんの声で解散に。
今はのんちゃんと掃除をしている。
持ち運び用のピアノを持って
私たちの教室に顔を出した先輩。
教卓の隣にピアノを置いて職員室にいる
中間先生に教室使用の許可を取りに行った先輩。
私が持っていたほうきをのんちゃんが奪って
そのまま私をピアノの方に連れていく。
黒板にもたれながら私を見守るのんちゃん。
仕方なくピアノの前に立てばのんちゃんは
更に笑顔に。
私は一息を吐いてピアノの上に指を置いて
綺麗な音色を教室に響かせた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!