貴方side
ぶわーと走って行ったしげ先輩。
連れてこられたのは学校からさほど遠くない
少し大きい公園。
智にぃと一緒にしげ先輩の後を追えば
小さなベンチに大きな男性がギュウギュウに座って
いた。
砂場の砂を3人にかけるしげ先輩。
のんちゃんも口を開けてポカーン状態。
智にぃは小さなため息ついて頭を抱えていた。
走り待っているうちに空いたベンチに
智にぃとのんちゃんと一緒に座る。
智にぃは何も教えてくれなかったけど
でもきっと悪いことではなさそう。
視線をずらせばずっと砂の掛け合いをしている
先輩たち。
はしゃいでいかにも「青春」らしいことをしている
先輩たち。
確かにちょっとやりすぎな部分もあるけれど
それでもどこか羨ましかった。
そんな時
気付けば足元に小さな子猫が鳴いていた。
動物好きの私は直ぐに抱っこして膝の上に置けば
落ち着いたのか猫も楽な姿勢を取った。
横に座っていたのんちゃんも智にぃも
優しく猫を撫でていた。
動物好きの智にぃでも触れないほどやから
きっとすごいことなんだろう。
今私が触れていることに。
砂遊びに夢中になってたしげ先輩が
私たちのところに全力疾走で戻ってきて
私の膝の上にいた猫を抱き上げて抱っこした。
どうやら「大ちゃん」って言うらしい。
猫も大ちゃんっていう名前を気に入ってるのか
それともしげ先輩が好きなのか
すぐに返事をした大ちゃん。
その後しげ先輩はずっと大ちゃんを抱っこしたまま
私とのんちゃんにバンド仲間を紹介してくれて
そのまま私たちは帰って解散となった。
今思えば、大ちゃんって
「重岡大毅」の大ちゃんだったんだね。
先輩がつけたからこの名前にしたのかな。
先輩のネーミングセンスは本当に疑ったけど
今となっては最高にいい名前だよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!