第30話

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2021/03/09 08:26
貴方side
ダラダラと過ごしていたら
あっという間に夏休みが終わり
今日からまた学校に行く。
あなた

……智にぃ、行ってきます。

神山智洋
神山智洋
おん。
気を付けてな。
あなた

…うん。

玄関を開けて門までの少しの階段を下りる。
門を開けたら表札にもたれて携帯を弄っている
幼馴染。
あなた

……のんちゃん?

小瀧望
小瀧望
……おはよう、あなた。
私の声に気付いたのんちゃんは
スマホをしまって私の前まで来た。
小瀧望
小瀧望
……一緒に行こ。
あなた

……うん。

のんちゃんは私の隣に立って
私のペースに合わせて歩いてくれる。


いつもなら私が
どちらかと言えば先輩のペースに合わせてたっけ…。
小瀧望
小瀧望
……宿題やった?
あなた

……うん。
やることなかったし……。

小瀧望
小瀧望
まじか〜。
俺サッカー部で忙しくてさ笑
後で写させて!
あなた

えぇー!やだよ!笑笑

小瀧望
小瀧望
そこをなんとか!!
頼む!!
あなた

もぉ〜
しょうがないな笑

小瀧望
小瀧望
ありがとう!!
ほんま、助かるわ!笑
目が覚めていた時には
既にど真ん中だった夏休み。

その後半を
私はボーッとつまらない生活を送っていた。

色々な人からも沢山連絡が来た。
のんちゃんもその1人。

着信の音で飛び起きれば損してばかりだった。
当たり前だ。
1番連絡が欲しくてたまらない人は
もうここには居ないのだから。





小瀧望
小瀧望
…学校賑やかやな。
あなた

……そうだね。

小瀧望
小瀧望
………そか、文化祭………か。
あなた

………そうだね。

夏休みが終われば
文化祭という行事がすぐそこに。

私たちのクラスはきっと
今年こそはとウキウキしているのだろう。

のんちゃんが教室の扉を開けば
私は後ろから静かに入る。

でもそう上手くは行かずに
友達がすぐに私の周りを囲んで
無事でよかったと声をかけてくれた。

無事に席に着いても
私は座れなかった。

私はこの席でも沢山の思い出が詰まっているから。

中間先生の英語を聞かないで
すぐそこの校庭でサッカーやハードルを
完璧にこなしていた先輩を思い出す。

夏が似合いすぎた先輩を
思い出してしまった。

初めて会ったあの桜の木は
今は綺麗な緑の葉を身につけている。

先輩は今そっちの世界で
どんな服を着ているのだろう。

夏服の制服かな。

それともバンドのTシャツかな。

甚平着てるのかな。
小瀧望
小瀧望
……あなた。
私の名前を呼んで
私を優しく抱きしめるのんちゃん。

そのままのんちゃんは私の頬を指をなぞった。


泣いてるんだ。

私。


泣いてばっかだ。
あなた

……ごめん。
宿題、写したいんだよね。

机の上に置いたカバンのファスナーを開けて
ファイルをのんちゃんに渡す。

のんちゃんは受け取った後
優しく頭を撫でて後ろの席に戻った。
あなた

………のんちゃん。

小瀧望
小瀧望
……ん?どうした?
私がのんちゃんの名前を呼べば
すぐにシャーペンを置いて私の顔を見る。

きっと私は涙で不細工だろう。
あなた

……お願いごと、あるの。

小瀧望
小瀧望
お願い?何?
…なんか嫌な予感やな。笑
あなた

……先輩がね。
大毅先輩がね、
のんちゃんなら私のお願い
何でも聞いてくれるって
言ってたの。

小瀧望
小瀧望
………それ、ずるいわぁ。
驚いた顔になった瞬間
首を垂れたのんちゃん。


それでもすぐに真剣な顔になって
机の上に置いたシャーペンを見てのんちゃんは
またそのシャーペンを握って優しく笑って
私の顔を見た。
小瀧望
小瀧望
…………ものによるで?笑
笑ったのんちゃんに安心して
私は椅子に座り話し始めた。

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