第4話

第4夜 イケメンとコーディネート
9,632
2019/03/30 05:00
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
これなんてどうですか?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
こっちもいいのかな。
金曜日の夜。明日、友達とアニメのイベントに行くのに着る服がわからない!

そんな悩みを解決すべく、おしゃれ男子・千春さんにコーディネートを頼んだわたしであった。
三浦千春
三浦千春
赤と黒だよね。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
そうなんです!推しのテーマカラーなんです。
赤と黒。わたしの最推しジャンル「トゥインクル・ナイト〜身分差の恋〜」に登場する加賀くんの色。バンパイアの加賀くんは、人間である貴族の美少女をほかのバンパイアから守るため、赤と黒の衣装をまとい、毎話活躍するのだ。

せっかく行くアニメイベント。推しの色を身につけて出陣したい!それがファン心理というものでしょ。

普段、パステルカラーの色ばかり着るわたし。赤と黒なんていう大人っぽい服装をどう組み合わせて良いものか、自分1人じゃ迷走するところだった。
三浦千春
三浦千春
こっちの赤いセーターに、黒いスカートなんていいんじゃないかな。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
わたしに似合うでしょうか。
三浦千春
三浦千春
ほら、似合ってるよ。とってもかわいい。
鏡のまえで服を合わせてくれる。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
ふふ、まるでお姉さんができたみたい。
三浦千春
三浦千春
ええ〜、お兄ちゃんじゃなくって?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
はい。千春さん、とっても美人さんなんですもん。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
それに、料理もうまくて、勉強もできるし。千春さんって、なんでもできちゃいますよね。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
わたし一人っ子なんで、千春さんみたいなお姉さんいたらなぁって憧れます。
三浦千春
三浦千春
……そっか。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
はい!
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
あっ、千春さん。アクセサリーは、こっちの蝶々が付いてるペンダントとこっちのバラの髪飾り、どっちがいいと思いますか?
三浦千春
三浦千春
どっちも付けたらいいと思うよ。両方ともシンプルだから、うるさくなりすぎない。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
確かに、そうかもしれないです。両方付けてきます!
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
あれ……、このペンダント付けづらいです。ちょっと、付けてもらってもいいですか?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
千春さん……?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
きゃっ!
三浦千春
三浦千春
油断しすぎ。
鏡台のまえに立っていたはずなのに。わたしはいつの間にか、ベッドに押し倒されていた。千春さんの長くて綺麗な、細い髪が頰にかかる。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
(くすぐったい。)
三浦千春
三浦千春
きみは女の子なんだよ。
三浦千春
三浦千春
こんなふうに、夜中、男を自分の部屋に連れこんだりしちゃダメじゃないか。
三浦千春
三浦千春
襲ってくださいって言ってるようなものだよ。
三浦千春
三浦千春
腕だって、こんなに細いんだ。
三浦千春
三浦千春
俺は男だよ。きみなんて簡単にどうにでもできるんだ。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
(睫毛長い……。)
三浦千春
三浦千春
ちゃんと聞いてる?懐いてくれるのは嬉しいけど、ちゃんと自覚はしてほしいな。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
ふふ……、ありがとうございます。
三浦千春
三浦千春
ねぇ、なんで笑ってるの?俺は怒ってるんだよ。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
だって、千春さん険しい顔してますけど、手の力緩めてわたしがいつでも逃げられるようにしてくれてますよね。優しいなぁって……。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
イケメンは苦手ですが、千春さんは慣れちゃったかもです。
三浦千春
三浦千春
はぁ……。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
あ、明日千春さんが選んでくれた服で出陣してきますね。
三浦千春
三浦千春
はいはい、気をつけていってらっしゃい。おやすみ。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
おやすみなさい。
ちょっとびっくりしちゃったけど、普段優しい千春さんの真剣な表情も見られて満足なわたしなのであった。

プリ小説オーディオドラマ