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第6話

第6夜 キスしないと出られない部屋
墨田冬史郎
墨田冬史郎
突然ですが、ここはキスしないと出られない部屋でございます。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
は……?
墨田冬史郎
墨田冬史郎
菜ノ花姫は拙者とキスしないと出られない。これは幕府からの命令だ。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
今日はどんなキャラ設定なんですか?冬史郎先生……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
はっはっはっ。苦しゅうない。近う寄れ。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
悪代官様……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
とりあえず、壁に張りついていないで座布団にでも座ったらどうですか?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
無理です。
原稿執筆中の冬史郎さんの部屋にお茶を持ってきたら、鍵を閉められた。眼鏡をかけていても、顔立ちが整っているということには変わりない。イケメンが苦手なわたしにとって、イケメンと密室に2人だけなんて地獄でしかなかった。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
閉じこめてしまってすまないね。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
実は、時代小説のほかに、最近若い女性向けの恋愛小説を書いてほしいと依頼されまして。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
日頃、若い女性と接点がないので、こうして菜ノ花姫を拐かした次第でございます。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
それでキスしないと出られない部屋……。
「○○しないと出られない部屋」は、どちらかといえば、恋愛小説というより同人誌でよく使われる展開だ。プロの小説家の人が、アマチュアのネタを持ってくるとは……。教えてあげたほうが良いだろうか。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
冬史郎さんほどのイケメンさんなら、わたしなんかじゃなくてもいくらでも寄ってくる女の子はいると思うんですけど……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
小説家というのは案外、孤独なものなんだよ。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
はぁ……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
ところで、菜ノ花姫。キスは初めてですか?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
いえ……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
男性恐怖症なのによくできましたね。無理やりにでもされたましたか?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
ち、違います……!無理やりなんかじゃない……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
ふむ……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
もしよければ、話を聞かせてくれませんか。僕は小説家です。人間観察を常日頃からしています。いくらかマシなアドバイスができるかもしれません。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
きみだって、このさきずっと男性恐怖症でいるわけにはいかないでしょう?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
……はい。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
ファーストキスの相手は優馬なんです。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
ほう……、幼馴染とは聞いてはいましたけど、そんな仲だったんですね。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
小6のときでした。優馬とわたしは幼稚園から一緒で、よく一緒に遊んでいたんです。優しくてスポーツ万能の優馬は人気者で、クラスの女子も優馬が好きって子が多かったです。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
ある日、掃除が終わったあとの空き教室で優馬と偶然2人きりになりました。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
なんかそのときの優馬、落ち着きがなくてへんでした。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
そこでキスされたんだね?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
はい。でも、なんか嫌じゃなかったんです。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
でも、クラスの女子に見られていたみたいで、わたしその日を境にハブられるようになりました。卒業まで、ずっと。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
だから、男の子と関わらないようにしていると……?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
そうです。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
あのとき味わったさみしさを、もう二度と味わいたくないです。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
男子と仲良くしてハブられるぐらいなら、女子とだけ仲良しでいられるほうがいい……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
ふ〜ん、そうですか。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
きみのいまの友人は、きみが男の子と仲良くして嫉妬するような子たちなのですか。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
……!
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
違います……!そんな子たちじゃない……!!
墨田冬史郎
墨田冬史郎
それならもう、おしまいにしようじゃありませんか。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
あなたが異性の友達を作ることは、あなたの友人を信じるということの意思表明にもなるのですよ。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
これは僕からの贈り物です。
ゆっくりと近づいてきた冬史郎さん。

彼の唇が、わたしのおでこに触れた。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
姫の呪いを解く、魔法のおまじないです。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
……!!
墨田冬史郎
墨田冬史郎
どうされました?
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
顔が……良い……!!
眼鏡を外した冬史郎さんのご尊顔は、眼鏡をしているときの10倍、いや、100億倍ぐらいイケメンだった。
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
なんで眼鏡外したんですか!?
墨田冬史郎
墨田冬史郎
ああ、女性とキスするときは眼鏡を外さないと失礼ですから。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
僕が眼鏡外したところ見るの初めてじゃないでしょう。ここに来た初日、見ましたよね?
ああ、そうだった。冬史郎さんの部屋を間違って開けちゃって、それで眼鏡を外して着替えていたんだっけ。セーターの下、なにも着ていなくて……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
わぁ……!どうしました?鼻血出てますよ!
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
筋……肉……。
墨田冬史郎
墨田冬史郎
どなたか来てください!菜ノ花さんが鼻血を出して倒れました……!!
神谷菜ノ花
神谷菜ノ花
†┏┛墓┗┓†
まだまだイケメン克服の道は険しそうです。

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平七羽
平七羽
こんにちは!平七羽(たいらいろは)です。ファンタジーとイケメンをこよなく愛しています。疲れちゃう毎日ですが、少しでも楽しくなるように。そんな小説を書いていきたいと思います╰(*´︶`*)╯💠twitter→@taira_iroha💎(アイコンは「宝ひかるは石の国」表紙でおなじみのkaoliniteさん@okayuatsuiから🎶)
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