[クリスマススカイ番外編:あなたの気持ち]
[あなた視点]
私の彼氏はバンドマンだ。
浮気癖があるし会計は基本私持ち。
別に他に好きな人もいないし、過去に好きになったって事実に変わりはないから別れなかった。
でもとある日、barによく来てたお客さんに言われて考え方が変わった。
急に動画を見せて来て俺はなにも気にしてないし好きなように生きてるからね!みたいなことを言って来たんだ。
その日は色々重なって辛くてマスターに弱音を吐いていた。
その時に彼氏のことも吹っ切れた。
過去じぶんが好きだった人を否定する気はないけど、今自分が好きだと思ってない人に時間をかけたり悩むのは無駄だって思えた。
彼氏の関係の知り合いも多かったしすぐには別れられないけど別れようってその日に決めた。
その日からよくその人と話すようになった。
としみつ、って言うらしい。
私がいると嬉しそうに話しかけてくれる。
私がいない日に来た時はふてくされた顔でお酒を飲んでるらしい。マスターが笑いながら話していた。
弟が出来たような気持ちだった。
それからはお弁当を食べられたり、歌の話をしたり、いつか一緒に曲作ろうぜみたいな話をした。
特別な感情はない。
ないと言ったら嘘になるんだろうか。
本当に弟みたいで幸せになってほしい人間の1人だ。
これもまた特別の中の1つなんだろう。
私がヒールを履くと「抜かすな!背を!」って怒ったり、私がカラオケで歌うと一緒になって歌ったり、一緒に居て楽しかった。
時々悩みを聞いてくれたりもしたし、
面白い仲間の話をしてくれたりもした。
本当に楽しそうに笑うからこっちまで笑ってしまう。
きっとこういう人を好きになれば良かったんだろうな。って思うことも度々あった。
でも私はとしみつを好きにはならない。
弟のようで、私のように気分屋で、歌が好きで、少し私に似ていた。
似ているからこそ、恋愛的な感情は一切なかった。
そろそろ知り合って3ヶ月くらいが立つんだろうか。
オリジナルの曲を歌うよって言うとじゃあ行く!って返事が来たから近くのクラブで待ち合わせた。
人が少ないところで会って誤解されても困るしね。
そこで出会ったのがあの人だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。