ゴールデンウィークがやってきた。
新しく学校が始まってすぐのこの連休は、学生たちの心のオアシスでもある。
でも、どこに行っても混んでいるだろうという一般的な考えに則って、我が家ではどこにも行かない。
智花の家庭は、いつも智花に意見を聞くそうだ。智花は、「今年はメグと遊ぶから」と遊びに行かない意思を両親に伝えたらしい。
私たちの、私たちとしての最後の休みだった。
お互いの家に一泊ずつの簡単なお泊まり会。
ここで、荷物の運び込みと、部屋の最終確認をする。
まずは智花の家に一泊、次に私の家に一泊。
私は昨日まとめた荷物を持って、智花の家に向かう。
電車だと定期の範囲外だから、自転車で行くことにする。
小学校を挟んで対極にあるから少し時間はかかるけれど、お金はかけないほうがいい。
荷物の中身はCD何枚かとプレーヤー、誕生日に買ってもらったノートPCにお気に入りの雑誌数冊。
PCにはパスワードを入力しなければならないから、智花の家においといても見られる心配はない。
精密機器が少し多めだから、そっと自転車を漕ぎだす。
高低差の少ない平坦な道を、滑らかにに駆けていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。