視聴覚室に入ると、
まだ数人しか集まっておらず安心した。
その数人の中に、北先輩はもちろんいた。
( さすがです...! )
挨拶をして、後ろの方の席に座った。
2年生だからというのもあるけど、
前の方は苦手意識がある。
もっていたパンは
取り敢えず膝の上に置いた。
話しかけてきたのは、2年1組の学級委員
星川 颯斗 ( 作者的にイケメンぽい名前 )
イケメン(らしい)で成績優秀
宮ツインズにならぶモテ男だ。
私は少し苦手。このグイグイ感が。
私の手元を見てそういう星川くん。
可愛いところ....?お弁当を忘れるのが...?
ちょっとよく分からない発言に、
私は笑いで流した。
私はそんな風には思わなかったけど...
星川くんの前だとサボってたのかな...?
星川くん、仕事が早いからか!
私が悩んでいる間に、
次の話題へと変わっていく。
( なんなんだろう.... )
私にとっての宮くんの存在
まぁ、問題児には変わりないけど
そこまで面倒くさいとか思わないな。
( 気に入ってる... )
人に対して
気に入る気に入らない
なんて考えたこともなかったな。
沈黙が気まずくなったところで、
北先輩に声をかけられた。
私は『ごめん』と星川くんに言って
北先輩の方へ向かった。
・
・
・
北先輩が勘違いをするなんて...珍しいな。
3年生だし、忙しいんだろう。
( 頼って貰えたのは嬉しい...! )
と密かに喜ぶ私。
北先輩が指したのは、
前から2番目の端っこの席
さっきの席よりかなり離れている。
パンはさっきの席に置いてきてしまった。
( 先に取ってこようかな )
と思ったが、丁度集まりが始まってしまったので、手ぶらのまま端っこの席に座った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!