あなたのニックネームside
目、覚めちゃった
今は…4時か
いつもよりだいぶ早いな
そういえば昨日は…
そうだった
私の居場所はここにはない
そう、ちゃんと確信したんだった
朝ごはんどうしようかな
まぁ姫花が作ってるって
え、昨日の夜ご飯みんな食べたのかな
あ、てかチョコは?
なんでもいいや
もう関係ない
あれも姫花が作ったことにすればいいじゃん
そしたら姫花好感度UPだね
うん、それでいい
みんなは私のことを嫌う
そして悪役の姉とは真反対の
可愛い妹を可愛がる
素晴らしい計画じゃん
だから、
とりあえず黙って家出てきたけど
今は全然学校開いてないし
どこで時間潰そっかな〜
この時間だとどこのお店も開いてないよね〜
私の家
桃柳家の家、売ってなかったんだ
行こう
久しぶりに私の実家へ
いつ見てもおっきいなぁ〜
えっと、確か…
ちょっと言葉はおかしいかもだけど
これはうちだから出来る
セキュリティの素晴らしさを発揮したやつ
家もでかいしセキュリティも半端ないし…
さすが私のお父さんとお母さんだ
一生自慢できちゃう((
しかもこれ、さと兄は知らないんだ〜
私がお母さんに秘密だよって教えてもらったの
だから…最悪ここに逃げ込んでも誰も来れないんだ
私だけの場所なんだよ
ガチャッ
あ、開いたわ
うそ、でしょ
ここにいるはずない
だって、お父さんとお母さんは…
ここにはいない
分かってる
自分が作り出した幻覚だって
分かってる
お父さんとお母さんは…
死んだんだから…ッ
久しぶりに帰ってきたよ
聞いて欲しいことがたくさんあるの
楽しかったこと
嫌だったこと
嬉しかったこと
楽しいこと
嫌なこと
やっと友達ができたこと
さと兄達とまた会えたこと
…いじめられてること
沢山、たくさんあるんだよ…
今すぐ話したいよ…
寂しい…
今は辛い
でも、少し嬉しい
おかえりって一番言って欲しかった人に言ってもらえたから
会いたいなぁ
話したいなぁ
ぎゅーって、強く抱きしめたいなぁ
…そんなこと思ったって叶うわけないのに
寂しさが増すだけだよ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!