第5話

story 4
73
2018/01/27 07:56
とうとうきてしまったこの日。


2月14日。バレンタインデー。

クラス全員、足早に帰っていく。
いつもなら皆ゆっくり支度してるのに
今日はバレンタインデーだからかな?
ウキウキで帰っていく皆の姿を教室の窓から見つめた。


だいたいの生徒が帰っていき、
クラスには私一人になる。
シーンと静まり返った教室で一人、
深呼吸をした。
ゆっくりと、西内くんの席に近づく。
西内くんの姿は見当たらない。
けど、まだ荷物は置き去りにされている。
おそらく、校舎のどこかにはいるのだろう。
肩にかけた自分の鞄をギュッと握り、
中に入ったチョコにそっと触れた。
頑張れ、私。
今年が最後だよ。
告白するなら、今年しかない。
今年を見逃してしまったら
きっと、一生告白できず、
後悔してしまう。
そう、自分に言い聞かせ
もう一度、ギュッと鞄を握りしめると
私は走り出した。



西内くんの好きな場所へと向かって…。

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