第8話

story 7
99
2018/01/27 10:50
翌日。


昨日の今日で、
西内くんとは会いたくなくて、
なるべく目を合わせないようにしていた。
目は合わせないようにするものの、
気になってこっそりと見てしまうんだけど(笑)
帰り道。


私の目の前を、
他クラスの男子と西内くんが仲良さそうに並んで歩いていた。
西内くんは皆に人気者で、
友達がとにかく多い。
だから放課中はたくさんの友達とよくサッカーをしてる所を見かける。
友達が多い西内くんが羨ましく思える…。
特に西内くんが仲良くしてるのが
今西内くんの隣を歩いてる他クラスの男子。
いつも大体帰りはあの人と一緒なんだよね。
余程仲が良いんだろう。

そんな二人の後ろ姿をジッと見つめながら
一人、歩いていた。
すると、
少しだけ…
二人の会話内容が聞こえてきてしまった。
中島 廉 (なかじま れん)
そういやーお前、
チョコ貰ったんだろ?
西内 翔 (にしうち しょう)
あぁ…まぁ

"チョコ"という単語を聞いただけで、
私のことだ…。と、分かり
体全体がいっきに熱くなった気がした。
そして、なんとも嬉しくなさそうな西内くんの声にガックリしてしまう。
いや、期待してたわけじゃないんだけどさ、
でも…少しは喜んでもらいたかったかも。
中島 廉 (なかじま れん)
何~付き合うのか?
西内 翔 (にしうち しょう)
はぁ?無理。んなわけねーじゃん。
好きじゃないし
その言葉を聞いた瞬間、
頭の中が真っ白になった。
一瞬、何が何だかわからなくなった。
"好きじゃないし"。


すき、じゃない…


すきじゃない…



頭の中で西内くんのその言葉が繰り返される。
そう言えば私、
ただ好きって自分の気持ちを伝えたくて

無理やり西内くんにチョコをあげてしまった。
西内くんは嫌だったのかもしれない。

もしかしたら、彼女がいるかも…
なんてことも考えてなかった。
いてもおかしくないよね、
17歳なんてもう普通に恋人がいる歳だろう。
やってしまった……


私、頭の中では上手くいかないってわかってたつもりだったのに…
いつの間にか
変な勘違いしてしまっていたのかもしれない。
"優しい西内くんだから"と、
少し期待をしてしまっていたのかもしれない…
最低だ、私…。
ありえない…。

自惚れてた。
考えれば考えるほど、
涙が溢れ、
後悔ばかりが心に残った。

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