「あっ…!」
聞き覚えのある声が耳元から聞こえる。
そっと目を開けると、見慣れない天井が視界に広がった。
首元を動かし辺りを見渡すと、目元を赤くし今にも泣き出しそうな顔をしたふぅ〜君が手を握っている。
ふぅ〜君の言葉に駆け寄ってきたのは晴向君と雨月君。
2人共安心した顔で僕を見つめている。
(とりあえず起きなきゃ…)
身体を起こす為、腕を使おうと腕元を見て驚いた。
腕に巻かれた包帯の隙間から滲む血。
▽▽
あれから、僕があの時の小学生を守るために横断歩道に出た時に車に轢かれたこと、怪我の状況や治療法をふぅ〜君に教えてもらった。
(そんなに大変なことになってたんだ…)
小学生の子のことを考えたら、身体が勝手に動いてその後の記憶がないなんて…。
(ふぅ〜君達に迷惑かけて、申し訳ない…)
あ、そういえば…!?
はっと小学生の子の顔が浮かぶ。
あの子は、無事…?
不安でふぅ〜君を見つめると、優しく笑い、伝えられる。
ほっと胸を撫で下ろすと、ふぅ〜君にぎゅっと手を握られた。
下を向き、苦しそうな顔をしているふぅ〜君の姿に胸が痛む。
ぽろぽろと大粒の涙を流し、伝えられる。
月の明かりのように綺麗な瞳から大粒の涙を流すふぅ〜君の姿にこちらまで涙が出てしまう。
右腕でぽんぽんと頭を撫でると、涙が止まっていく。
子供のように頰を膨らまし、約束事を何回も伝えられる。
そんな可愛い年下の男の子は僕の彼氏。
__
額に軽いキスをされ、自然と笑顔になる。
いつも大人っぽくてかっこよくて、頼りになるふぅ〜君だけど、ふぅ〜君の悲しんでいる顔は見たくない。
だから…
今、この瞬間に思ったことを伝えるよ。
当たり前のありがたさに気づけたから__
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▽▽
ずるずると2人に引きずられるふぅ〜君。
(かっ…可愛い…)
パタンと病室の扉が閉まった後、1人で悶えてしまう。
麻酔と傷口の様子を確認する為に4日入院することになり、限られた時間にしか会えない病院の規則にふぅ〜君がしょんぼりとしていた。
(いつでも会えるのになぁ)
…そう、思っていた。
"今までは"
自分が実際経験してわかった当たり前の大切さ。
ふぅ〜君も気づいたからこそ、離れるのが不安なのだろう。
ゆっくり腕を動かし、怪我をした部分を見つめる。
でも…ヒビが入るだけで骨折してなくてよかった…。
(傷は麻酔で痛くないけど、腕が動かせないのは不便…)
腕が動かせないから、本を見ることができない。
雨月君が暇だろうからって買ってくれたテレビカードをさしてテレビを付ける。
「__では、続いてのニュースです。今日夕方、⚪︎⚪︎市の交差点で、大学生と小学生と衝突する事故がありました。現場を目撃していた人の証言では…」
__ピッ
思わずテレビの電源を切ってしまった。
かぁぁぁっと顔が赤くなる。
ニュースってこんなに情報早く伝えるんだ…!
(そりゃあ…都市の真ん中だから目立つよね…)
トクトクと動く心臓を落ち着かせ、再びテレビを付け直すとバラエティ番組に変わっていた。
スマホに大量の通知が来ていることを、まだ知らない__
次回、必ずいちゃいちゃにします〜!!できればえちえちにしたい!!です!!
今回は楓馬が年下ってことがわかる回だったんじゃないでしょうか…!雛のことになると可愛いくなります。これからも2人を見守ってください。
いいね、お気に入り登録、コメントありがとうございます〜!!
次回もふぅひなです!!次回もお越しください〜!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!