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第147話

あなたがいないと。


治ることのなく痛いくらいに響く心臓の音。


数十分前、大学内にまだいた晴向から電話がかかってきた言葉に頭が真っ白になる。




晴向
っ…楓馬、今教授から聞いたんだが…
晴向
落ち着いて聞けよ




__





晴向
雛さんが交通事故に遭って救急車で運ばれたそうだ
楓馬
……は?

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▽▽


何を言っているんだ…?


冗談だとしても酷すぎる。
でも晴向が嘘をつくわけがない。


楓馬
いや…ちょっとまってよ
楓馬
嘘でしょ?
晴向
本当だ。今急いで状況を確認している


ひなさんが事故…?


サッと血の気が引く。


救急車?じゃあ、病院は?怪我の状態は?意識は?









命に別状はないのか…?









考えれば考える程息が苦しくなる。
胸が痛い、苦しい、怖い。


楓馬
…どこの病院?
晴向
今聞いてる
楓馬
救急車って…そんなに酷いの?
楓馬
怪我の状態は?
楓馬
意識はある?
楓馬
晴向、ねぇ!!
晴向
っ!!楓馬!!落ち着け!!
楓馬
っ…


痛いくらいに響く晴向の怒鳴り声に動揺する。


恋人が交通事故なんて、ドラマだけのフィクションだと思っていた。


ひなさんの帰りを待って、ゆっくりご飯を食べる。
今日もそんな幸せな日々を送るはずだったのに。

晴向
情報が分かり次第また電話する


当たり前だと思っていた日常が、一瞬で壊される__


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▽▽


あれから15分、ひなさんの運ばれた病院が分かりすぐに駆けつけた。


受付に事情を説明し、奥の待合室へ入ると晴向と雨月が先に着いており、その隣には足に包帯を巻き泣きながら座る小学生とその親がいる。


小学生が少しの怪我だけで済んでいる状況を見て、ひなさんの優しさが目に見えて分かる。


上を向くと手術中と赤く光る看板。


またドキリと心臓が鳴りだす。
楓馬
手術…?
晴向
俺達が着いた時ももう手術室に入ってたから詳しくは…


どうなるかわからない状況に、自分までどうにかなりそうだった。


ひなさんのお父さんは県外に出張中らしく、2週間はここへ帰って来られないらしい。
代わりに俺達に状況を聞いてもらうよう、お願いされたと聞いた。
楓馬
ひなさん…っ
雨月
楓馬…


空気が、重い。
薄暗い明かりの中、男の子の泣き声だけが響く。



「お兄ちゃん大丈夫かなっ…ひぐっ…僕のせいで…」



沈黙の中、泣きながら男の子が問いかけてきた。



「僕が、鬼ごっこに夢中になってたから…っ…」



泣き喚く男の子に、こちらまで焦ってしまう。


保育士を目指してるのに、こんな時に焦ってどうする。


そう、心では言うものの、恋人が事故に遭ったのだ。冷静に考えられない。


雨月
ほぉら、泣かないの


俯いて黙ってしまった時、雨月がフォローしてくれた。


雨月
お兄ちゃんは、きっと大丈夫だよ。目が覚めたら謝ろう?
雨月
だから今は我慢。手術が無事に終わるように願いながらお兄ちゃん待とう


「でもっ…お兄ちゃん…きっと怒ってる…」

雨月
ううん、きっと君が酷い怪我してないから安心すると思う
雨月
だから泣かないの〜。ね?


「うんっ…」


いい子と頭を優しく撫でてるけど、雨月だって手が震えている。


皆、心配で不安なんだ。


ひなさんは皆にとっても大切な存在だから。




カチンッ__




スイッチの切れる音と共に赤いライトが消え、手術室の扉が開く。

楓馬
…っ!!


看護師さんが押すベッドには、腕と手首に包帯を巻いているひなさんが寝ている。
額と足首には小さいガーゼが貼られていた。



(っ…傷が…)



ガーゼから滲む血に、心が痛む。



「あなた方が天ノさんのお父さんの代理の方ですか?状況をお話ししますので、こちらへどうぞ」


手術室から出てきた医師から、診察室へ来るように伝えられ、その後をついて行く。


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▽▽


「命に別状はありません。脳にも損傷はありませんでした。」



医師の言葉に、安堵する。



「小学生が背負っていたランドセルで頭を打たなかったようです、額の傷は、ランドセルが衝撃のクッションになった時、摩擦で擦れたものだと思います。足のガーゼも、擦り傷です。」

楓馬
っ…良かった…


「ですが小学生を庇った時、抱きしめて横に倒れたようで左腕が肘から深く切れていました。そこを数針縫いました。抜糸は後日行います。」



「あと手首ですが…骨にヒビが入っています。」

楓馬
ヒビ…



「えぇ。小学生を抱きしめながら倒れた時の衝撃の影響でしょう。ですが3ヶ月程で治りますし、後遺症の心配もないので大丈夫ですよ」



「事故なのに2人とも命に別状がなくて本当に良かった。天ノさんはとても優しい人ですね」



優しく微笑む医師に、一気に緊張がほぐれる。



「今は麻酔の影響で眠っています。目が覚めるまで部屋で待たれますか?」

楓馬
っ!はい、側にいようと思います


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▽▽

雨月
良かったぁ…良かったよ…


病室に入り、眠っているひなさんの姿を見て泣きながら安心する雨月を優しく抱きしめながら晴向も安心している。
晴向
…あぁ、本当によかった


もし、晴向達がいなかったら俺はどうしていただろうか。


2人には感謝しかない。
楓馬
…晴向、雨月、ありがとう
晴向
気にするな、恋人が事故にあったんだ。動揺しないわけがない
雨月
そうだよ、俺だって不安だったんだから


2人の優しい言葉に、心が暖かくなる。
楓馬
…連絡聞いた時、頭真っ白になって
楓馬
そんな、ひなさんが事故に遭うなんて思ってもなかったから…
楓馬
もし…もう話せなくなったらって思って怖かった


ベッドの横に座り、ひなさんの手を優しく握る。

楓馬
ひなさん、あなたがいない生活なんて考えられない…
楓馬
ずっと憧れて、好きだったんです…


ひなさんに出会わなかったら、保育士になる夢を諦めていたのかもしれない。
周りの言葉に流されて、子供が好きと言う気持ちも捨てて。


でもひなさんが自分の夢を自信を持って語ったから、俺は自分の夢に自信を持てるようになった。


ひなさんがいたから。







あぁ、本当に…




楓馬
無事で良かった…っ


自然と頰に流れる涙。


温もりのある手は、生きている証拠だ__



















怪我をしましたが無事です〜!!
皆雛のことを大切に思っています。雛の言葉に沢山救われているんです。
次回は心機一転!ふぅひなイチャラブ回にしようと思っています〜!!

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次回もお越しください〜!!