無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第150話

両想いは運命ですか?*°


スタスタとこちらへ近づいてくる沙鶯のお兄さんが、つぐみを見ると笑顔で手を差し伸べてくれた。



「君が鶇君?」

はっ…はいっ



(つぐみの名前知ってる…!)



名前を知られているのに驚く。


反応に焦りつつ、差し伸べられた手を握り返すと優しく笑ってくれた。



「沙鶯がいつもお世話になっています」

こちらこそっ


ぺこりとお辞儀をし、お兄さんの顔を見る。



(やっぱり沙鶯と似てるや…)



柔らかな顔立ちは沙鶯にそっくり。
大人になった沙鶯を見ているみたいだ。



「沙鶯、お前にはもったいないくらい良い子だな〜」

沙鶯
なっ…!兄貴には関係ないだろ!?



「何言ってんだ、デート行くならどこがいい?だとか、服装どう?ってチャット送ってきたくせに」

沙鶯
〜っ!?


「兄様に向かって生意気な口聞くなぶぁか」

沙鶯
いたたた!


ぐりぐりとこめかみを拳で押され、もがく沙鶯を見てつい笑ってしまう。

仲良いんだねっ
沙鶯
う〜ん…どうなんだろう…


うーんと頭を悩ます顔を見て不満に思ったのか、お兄さんが沙鶯の頬をむぎゅっと摘む。



「仲良いだろ〜、恋愛相談してくるんだから」
沙鶯
だからその話はつぐの前では言わないでって〜
恋愛相談…?


「そうそう〜、沙鶯この間まで初々しいチェリーボーイだったから、鶇君とデートする前日なんて俺にチャット送りまくりだったんだよなぁ」
沙鶯
あ"〜!!それだけは黙っててって言ったのに!
っ…!


(つぐみの為に、嬉しい…!!)



琥珀に色々教えてもらった話を聞いた時から思ってたけど、沙鶯は何事にも慎重で、つぐみの為に色々なことをしてくれる。

沙鶯
はぁ…ほんと俺ダサい…
ううんっ!凄く嬉しい。沙鶯、ありがとう


つい嬉しくて抱きついてしまう。
ぎゅうっと力いっぱい抱きつくと、それに答えて背中をぽんぽんと撫でながら抱きしめ返してくれた。



「ラブラブだなぁ?」



にやにやとつぐみ達の光景を見つめるお兄さんの反応にはっと気づき、照れてしまう。


…ぁ、そういえば…お兄さんの名前…


そうだ、お兄さんの名前聞いていなかった。



「あぁ、俺の名前言ってなかったな」



「じゃあ、改めて」



つぐみの言葉に気づいて、ニコッと笑い名刺を差し出してくれた。






樋鷺
羽澄 樋鷺ほずみ ひいろ
ひいろさん…
樋鷺
珍しい名前だろぉ?俺ら初見殺しよ、"さおう"なんて聞いたことねぇわってな
沙鶯
いや兄貴の方が読みにくいし〜"ひいろ"なんてその漢字で読む?って感じ
樋鷺
まぁでも、唯一無二って感じで好きだけどな、お前もそう思ってるだろ?
沙鶯
まぁ…嫌なわけではない…
樋鷺
ということでまぁよろしく
はい、よろしくお願いします、ひいろさん


(名刺くれるなんて、大人だっ…!)



シンプルにデザインされた名刺に感動する。


それに樋鷺さんが務めている会社は有名な会社だ。誰もがCMで見たことのある大手企業。


そんな人が沙鶯のお兄さんだったなんて。



(世間って狭いなぁ)



そんなことを思いながら2人を見つめていた時、樋鷺さんに腕を掴まれた。
樋鷺
なぁ沙鶯、俺もう今日仕事終わりなんだよ
樋鷺
だから鶇君借りてもいい?
沙鶯
あ?
えっ?


突然の言葉に間抜けな声が出てしまった。


沙鶯の方はと言うと、不機嫌そうな顔で樋鷺さんを見つめている。

沙鶯
俺同伴じゃだめなの?
樋鷺
つい先日までチェリーボーイだったガキに俺達の話がわかるかよ〜?
樋鷺
めげずに沙鶯に告りまくった鶇先生に話が聞きたいんだ、"恋愛について"な?
沙鶯
ぅっ…


図星を突かれた沙鶯が静かになり、ため息をついた。

沙鶯
…今日はつぐと泊まるって約束してるから早めに終わらせてよね
樋鷺
おぅ、1時間くらいだから
えっと…?
樋鷺
あぁ、そこの喫茶店でちと相談に乗って欲しいだけだから。ダメか?


子犬のような顔でお願いされる。



(こんな所まで沙鶯に似てるなんてっ)



後ろで不安そうに見つめる沙鶯にそっくり。なんて思ったことは内緒にしておこう。

っ!いいですよっ


すぐ戻るからと沙鶯に説明すると、しぶしぶ了承してくれた。
樋鷺
ありがとう〜、んじゃあ、帰りはちゃんと家まで送るから
沙鶯
つぐに何かしたら絶対許さないからね〜
樋鷺
はいはい


2人の会話を聞き、樋鷺さんに着いて行く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


▽▽

樋鷺
ごめんな、急に相談なんて
いえ。…恋愛相談、なんですよね…?
樋鷺
あぁ、少し聞いてくれるか?
もちろん


運ばれてきた紅茶を飲み、真剣な顔をする樋鷺さん。

樋鷺
…俺にも好きな人がいるんだ
っ!


そう呟いた樋鷺さんだけど、その顔は悲しそうだ。

樋鷺
俺の部下なんだけどな、4歳年下で可愛いやつでさ
樋鷺
今は小説家で、たまに俺の会社に用事で来ることがあるくらいだけど
樋鷺
俺の手伝いしてる花屋にも良く来るんだ
お花が好きな方なんですか…?
樋鷺
いや、特別好きって感じじゃあねぇな
?じゃあなんで…?


樋鷺さんの部下という方の行動に疑問を抱える。


その様子に気づいた樋鷺さんが、車の通りが多い喫茶店の窓を見つめ、呟いた。












樋鷺
亡くなった"恋人"の為に花飾ってんだと
樋鷺
交通事故で亡くなったそうだ
っ…


交通事故。


その言葉に胸がドクンと鳴る。

樋鷺
夏なんて、恋人が好きだったからってひまわり毎週仕事帰りに買ってさ
樋鷺
家に飾ってるんだとよ


あぁ、そういうことか。


樋鷺さんは、その亡くなった方には敵わないから悲しそうな顔をするんだ。



(部下さんは、本当にその方が大好きだったんだ…)



樋鷺さんの状況を考えると、胸が痛くなる。

樋鷺
…だいたい俺の言いたいことわかっただろ?
…はい
樋鷺
まぁ簡単に言うと
樋鷺
本当に叶わない恋をしてるってわけ


亡くなった人の気持ちはわからない。


けれど、部下さんは恋人が好きだったお花を買い続けている。
…まだ…亡くなった恋人のことを部下さんは想い続けてるってことですよね…
樋鷺
…あぁ


そんなの、苦しすぎる。


好きな人に、好きな人がいるって状況の苦しさはつぐみだって知っている。


でも好きな人が、亡くなった方を今でも想い続けているなんて。

樋鷺
この間、冬におすすめの花はないかって聞かれてさ
樋鷺
ほんっと、どんだけ愛されてんだよその恋人さんはって感じ
そう…ですね


なんて答えればいいかわからない。


こんなに苦しい恋愛なんて知らなかったから。


下を向き、どう答えれば良いか迷っている時、笑いながら話しかけてくる。
樋鷺
そんでさ、俺もひまわりが花の中で1番好きなんだよ
え?
樋鷺
ついでに言うと
樋鷺
俺の好きな食べもんは鮭のホイル焼き、好きな果物は苺
樋鷺
好きな色は白、猫派でシンプルなもんが好き
えっと…?
樋鷺
この間、好きなもの何かって会った時に話す時あってな、今みたいに俺が好きなもんぽんぽん出してったらさ?
樋鷺
なんて言ったと思う?


さっきまでにこりと笑っていた顔が、まただんだん暗くなっていく。












樋鷺
恋人と好きなものがおんなじだ、生まれ変わりみたい…って
樋鷺
1番言われたくなかった言葉だよ
〜っ…


ズキンッ、ズキンッ。


樋鷺さんの話に胸がずっと痛い。


樋鷺
ほんと、26になったってのに、勇気が出さずにズルズル恋愛引きずって…ダセェのは俺のほうだっての
樋鷺
今言ってもあいつに断られるだけだから、良い案ないかなって
樋鷺
だから鶇君にどんな方法がいいか聞こうと思ったんだ
っ!なんでつぐみなんですか…?
樋鷺
沙鶯から話は聞いてるからな、断られてもずーっと告白してたんだろ?
はい
樋鷺
それはなんで?なんで諦めずに告白できたんだ?
樋鷺
普通なら一回で諦めない?
っ!


樋鷺さんは真剣な顔で質問してくる。


けど、その答えはすぐに見つかった。


優しく笑いかけ、樋鷺さんの質問に答える。







"好きだから"、です
それだけじゃ、理由になっていませんか…?
樋鷺
っ!


そう、好きだから。


諦めたくなかった、沙鶯に隣にいてほしかったから。


好きだったから、諦めたくないって思いました
だから沙鶯が恋人で本当に幸せなんです
後悔だけはしたくないから


つぐみの言葉に思うことがあったのだろうか、目を見開き驚いていた樋鷺さんだったけど、目を細くし何か考え事をし始めた。


(きっと部下さんのことを考えているんだろうなぁ)


少しでも、アドバイスになったのなら良いけど…。



(…沙鶯に、会いたいな…)



樋鷺さんの話を聞いた時、沙鶯に抱きしめてもらいたくなった。つぐみだけじゃその話を聞くのは怖くて、辛くて。


でもその悲しみをまっすぐ受け止めているのは樋鷺さんなんだ。


樋鷺
…ありがとう、勇気出た
樋鷺
俺も諦めずに頑張るかぁ


そう呟いた顔は、さっきとまでは違い、自信を持っていた。


応援しています


今のつぐみにはこれしか言えないけど、樋鷺さんの恋は応援したい。


話がひと段落付き、先程の表情とは変わりにやにやとしだした樋鷺さん。


樋鷺
じゃあ次は、鶇君の話を聞かせてもらおうかぁ?
へっ…?


恋愛トーク、まだまだ続きそうです__










New story__×°


想い続ける花束を君に。


coming soon__









今回は沙鶯兄!!のお話になっちゃいました…!!次回からはさおつぐいちゃらぶ回です!!沙鶯嫉妬回です〜!!


そして沙鶯の苗字、やっと出ました。羽澄です。羽澄兄弟。


兄の名前も沙鶯と同じで鳥の入った名前、樋鷺です。考えるの大変でした…。


そして新たな恋も、始まりそうです。
115話参照。


いいね、お気に入り登録、コメントありがとうございます〜!!


次回もお越しください〜!!