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第135話

本当は羽ばたきたかった。**


−6年前–


秋__








あぁ、まただ。


何度この光景を見ただろうか。


こた
また…離れていく…


笑いの響く教室で1人、机に向かい嘆く。


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▽▽


中学生の頃の俺は泣き虫で弱虫。同級生の奴に何を言われても言い返せない引っ込み思案だった。


そんな俺に唯一皆が口を揃えて言ってくれた言葉がある。



「こた君は優しいね」



困っている人を助けてあげたい、そんな気持ちでいつも友達の手助けをしていたのだが、その姿を見ていた友達は、俺を優しいと言ってくれた。


素直に嬉しかった。
なんの取り柄もない俺にもできることがあるのだと。











なのに__





俺の性格を都合よく使う人が増え始めた。


最初は挨拶程度だった同級生。仲の良い友達と喧嘩してしまい、1人で過ごしているその子に声をかけたのがきっかけだった。



「話し聞いてくれてありがとうな」



そこから少しずつ話すようになり、お昼も一緒に過ごす友達に変わっていった。



「今俺が1番信頼してるのこただわ」



その言葉に、この人は親友になってれるかもしれない。


そんな期待を膨らます__








だが、そんな期待はなくなった。








ある日、その友達が喧嘩していた友達と仲直りしたのだ。
何に怒っていたのか忘れてしまうくらい時間が経ったからだろう。その子は俺の存在を忘れたかのように友達の元へと戻ってしまったのだ。


ポツンと1人で過ごす教室。


その時、気づいた。


俺は"都合の良い存在"だと。


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▽▽


「こた、職員室までついて来て?」


「一緒に教室行こう?」
こた
おう、わかった


嫌だなんて断れない性格が故、嫌な光景を何度も見続ける。


(どうせ俺よりも仲良い奴が来たらすぐあっちに行くんだろ)


仲良くなれた、と思ったらその友達は別の所に行く。
相手の気が済んだら、俺は必要のない存在。


こた
これじゃまるで"止まり木"じゃねぇか…


羽を休めに木に止まりに来る鳥達は、時には木の実を啄み、実がなくなる頃に飛び立っていく。


休むためだけに使われる木は、実がなくなり、鳥達のいいように使われるだけ。


それはまるで自分のようだった。


都合の良いように使われ、離れていく。


親友になれると思った友達は、鳥。


俺は止まり木。


どんなに優しくしても、利用されるだけ。


俺は__
こた
俺は…








__










親友が、欲しいだけなのに__


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▽▽


高校生になってもそれは相変わらずで、優しいと言われ続け、都合の良いように友達に振り回された。


「こたって本当、優しいよな!」


「こたといると安心する」


「出会えて良かった!」


やめろよ、嘘言うのは。
離れていく癖に。


何回も聞いた言葉。
初めは嬉しかったはずなのに、ぐさぐさと俺の心を傷つけていく。


人懐っこい俺の性格は、都合の良いように使われ、疲れてしまっていた。


早くここを卒業したい。


そう願って3年、第一志望の大学に受かり、地元を出た。


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▽▽


大学ではもう友人に期待をするのはやめようと決めていた。



もう傷つくのは嫌だから。



(もう、楽に過ごそう)



知っている人がいない場所、高校とは違う広さ。


その場の環境に必死になっていて気づかなかった。




とんとん、と肩を叩かれる。






楓馬
ねぇ君、俺と良く同じ授業受けるよね
楓馬
1年〜?初日スーツ着てたし〜
こた
っ!


スラリとしたイケメンに話しかけられる。


楓馬
あ、俺1年の子羊楓馬。君は?
こた
ぁっ…えと…、鈴木こた。俺も1年…
楓馬
こたかぁ。よろしくね〜
楓馬
良かった〜、なかなか話す人できなくてさぁ
楓馬
そうだ。この後一緒に学食、食べてかない?

この楓馬という同級生は、俺と一緒な授業を受けていたらしい。


(気づかなかった…)


ぐいぐいとくる楓馬に、ついうんと答えてしまい、そのまま学食を食べることになった。


▽▽


こた
わっ…わかる〜!可愛いよなぁ!子供が笑う姿!
楓馬
なんであんなに可愛いんだろうね〜…ずっと抱きしめてたい〜
こた
あはは!楓馬も子供好きだな〜!
楓馬
子供が好きじゃなかったらここ来てないし〜


初めて子供が好きな同級生に出会い、共感することばかりで話が盛り上がる。


忘れかけていた嬉しいという感情。


もっと話したい、子供について語り合いたい。


こた
なぁ、楓馬っ…明日も一緒に…


「ねぇねぇ!君も1年生だよね?うちらもだから宜しく〜!ねぇ、チャット交換しない?」


話しかけようとした時、数人の男子と女子に楓馬が囲まれた。


男子と女子の声に、俺の声は遮られる。




ドクンッ__



目の前の光景を見た途端、中高の頃のことを思い出す。


あぁ、そうだった。浮かれちゃいけないんだ。
それに楓馬はイケメンだから、人気者になるに決まってる。
それなのにそれを忘れて盛り上がって、馬鹿じゃねぇか、俺。


明日にはきっと俺のことなんて忘れてあの人達の所に行っているだろう。


俺は止まり木なんだから__


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▽▽


次の日、講義を終え学食に向かう途中だった。


楓馬
あ〜!いた〜!こた〜!
こた
ぅぉっ…!?


ガシッと腕を掴まれる。


頰を膨らましたまま、むっとこちらを見てきた。
楓馬
なに、忍者なの?ハムスターみたいにちょこまかと〜!探したんだよ〜?
こた
なっ…なんで怒ってるんだ…?


ぷくぷくと膨らませたままの楓馬に問いかける。


楓馬
学食一緒に食べるって言ったじゃん〜!
こた
え…?
楓馬
え?ってなんだよもう〜!
楓馬
昨日、同期に囲まれる前にこたが言ったじゃん
楓馬
"明日も一緒に食べないか"って
楓馬
だから声かけようと思ったらいなくなってて焦ったんだから〜!
こた
…っ!!


聞こえて…たんだ。俺の声は。


こた
俺はてっきり他の同期と食べるかと思って…
楓馬
え?なんで?
楓馬
俺は友達と食べたいんだけど〜?
こた
とっ…友達…?
楓馬
あはは、なに固まってんの。俺とこたは友達でしょ?
楓馬
あの人達は同期、昨日初めて話したよ

楓馬の言葉に驚く。


そばにいてくれる友達は初めてだった。


大学生になって、本当の友達を見つけた気がした。


ぽっかりと開いていた友情という穴に、喜びが満ちていく。


なんだよ、それ。皆離れていったじゃん。なのにさ、なんで俺の側にいてくれるんだよ。


ぼろ…ぼろ…涙が溢れ出す。
こた
ぅっ…ぅぅっ…
こた
ぅ…ぅぁぁぁっ…楓馬ぁ…ひぐっ…
楓馬
え!?ちょっ、そんなに怒ってないって〜!泣かないでよ〜!?


初めての親友ができた日だった__


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▽▽


2年生になった今だって上手く友人関係を築けているか不安だ。


でも…今ならはっきり言える。







琥珀
こたさん〜!こっちです〜!
楓馬
早くしないとひなさんが作ったサンドイッチあげないよ〜?
まだまだ沢山あるよっ
雨月
ほら、早く〜
晴向
おいおい、そんなに焦らせるな。絶対こたは転ぶぞ
沙鶯
俺の作ったハンバーグも食べて下さい〜
こたの席取っておいたよ!


この人達は…







俺の親友で…羽だ。
こた
そんなに焦らせるなよ!?今行くから!


皆の元へ駆け寄る。

琥珀
こたさん、おつかれさまです
こた
ん…♡

大学生になって、信頼できる親友を初めて持った。


今ではこんなに沢山の友人に恵まれている。


楓馬のお陰だ。


諦めかけていた俺に、話しかけてくれた楓馬がいたから。


感謝しかない。
だから俺は楓馬と雛さんの恋を応援する。


それに…今は琥珀っていう世界一大切な恋人ができたから。



琥珀の為にも、今を必死に生きよう。


俺もいつか羽ばたけるように__












こたの過去編でした〜!!
とにかく楓馬がいいやつです〜!!これだからイケメンは〜!!((
こたのことを知った上で、これからも見守ってくださると嬉しいです。

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