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第12話

雨とレインコート。1
「…なぁ雨月。俺のこといつになったら見てくれんの?」

「ぁ…え?」




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俺の名前は月上 晴向つきがみ ひゅうが。雨月とは幼稚園から一緒で家も近い。幼馴染ってやつだ。
雨月は昔から人一倍心が敏感で、些細なことでも気にするタイプだった。だから俺が守らないと壊れてしまうと小さい頃は思っていて、からかわれていたらすぐ助けて……。助けた時には必ず雨月は涙目になりながらも安堵した表情で

「ありがとう」

と震えた手で差し伸べた俺の手を握り返してくれた。

俺に恋愛対象が男だと伝えてくれたのは中1の頃。あいつも沢山悩んだのだろう、とても不安な顔で伝えてくれたのは今でも覚えている。
俺が恋愛対象が男だろうと偏見はないし幼馴染の理解力舐めんなって少し恥ずかしいそうに答えたらまた安心した顔でありがとうって。
俺は雨月の笑顔が好きだった。



…雨月の笑顔だけが好きなのかと悩み始めたのは中1の夏。


性に興味を持ち始めた男子達から聞こえてくる会話の中には雨月の噂も混じっていた。
その頃の雨月は、儚げで、大人しくて、優しくて、触れたら壊れてしまうんじゃあないかと言うくらい綺麗な美少年になっていた。大人しいのはあまり関わりのない人達の前だけで、俺の前では無邪気に話してくれる。


雨月は女みたいだからいけそう


今度家誘ってヤるか?


そんな会話を聞くたびにイライラした。
幼馴染だから?親友が襲われそうになっているから?……違う。こんな理由ではない。






テレビから聞こえるドラマの声






貴方のことが好きだから。






ストンッ




心にモヤモヤしていた気持ちが収まった感じがした。


–嗚呼、分かった…–




–俺もあいつのこと好きで襲いたいと思ってるからだ–



自覚してからは本当に大変だった。雨月のことを性的な目で見る輩がいつ襲ってくるかわからない。そう考えた俺は毎日筋トレをしたし、自分の欲も頑張って抑えた。そのお陰で雨月を襲う実行日の前日にアホな輩を撃退することもできたし、今でも大切な幼馴染として隣にいることができる。
告白をしたかったが、男に色々されそうになって少し怯えていたから俺が告白したらもっと不安になるのではないかとやめていた。



……そんな考えを持った昔の俺一発ぶん殴りたい。


大学に入ってから雨月はある人に恋をした。
子羊 楓馬、同じ大学で誰にでも優しいと噂のイケメン。
子羊と出会ってから雨月は少し明るくなった。皆とも積極的に話すようになったし、強くなった気がした。

「っ…なんで俺じゃねぇんだよ」


嫉妬で狂いそうだった。だが子羊の様子を見ているといつもとは違う雰囲気で愛おしそうに話す相手がいた。学年が上の雛さんというらしい。その姿を見てすぐに分かった。



子羊は雛さんのことが好きだと。




半年が過ぎて雨月の恋は終わってしまった。


「ははっ、ねぇ晴向。また友達減っちゃった」


そう嘆く雨月は本当に悲しそうだったのに、涙を流していなかった。