2月中旬。
気温は少し高くなったものの、風が吹くとまだまだ寒い。
そんな中俺は毎日のように悩まされていることがある。
ピピッ__ピピッ__
スマホの目覚ましが鳴り、朝を知らせているというのに一向に止まる気配がない。
寝ぼけた身体をゆっくりと起こしロフトの階段を降りる。
降りた先には愛しい恋人が身を包めベットですやすやと眠っていた。
恋人の代わりにスマホの目覚ましを止め、優しく身体を揺すり起こす。
細目で俺を見つめ、再度布団に疼くまる。
寒がりな雨月は朝が苦手だ。
ゆっくり布団を取ろうとすると、離すまいと抵抗される。
遅れるという言葉に反応し、もぞもぞと身体を動かし始める。
(お、動き始めた…)
俺と一緒に暮らす前はどうしてたんだって感じだが、本人曰く、俺なら必ず起こしてくれるから気を許して存分に寝ているらしい。
ゆっくりと起きようとする雨月の頭を撫でようとした時、グイッと腕を引っ張られた。
ぎゅーっと思い切り抱きつかれ、ぐりぐりと顔を埋める。
顔と顔を近づけ、自然に口付けをする。
そう、俺が悩んでることは…
雨月に甘すぎることだ__
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▽▽
付き合う前は、自我を保てていたと思う。
だからそれなりの距離を保って、片想いを気づかれないように気をつけていた。
"幼馴染"という距離を保って過ごしていたのだ。
だが恋人になって一年半、可愛すぎる雨月の行動につい甘やかしてしまう。
今まで"幼馴染"として我慢していたことが、"恋人"という関係になってからはなんでもできるようになり、雨月の可愛い姿が見たいからとつい甘くなってしまうのだ。
今もがっちりとホールドされた雨月に捕まり、同じベットで二度寝している状態。
(上目遣いで問われると俺の心にくる…)
可愛さに悶えながらも、平常心保って伝える。
今度こそゆっくり起き上がり、ぎゅうっと抱きつかれる。
少し寝癖のついた横髪、白い肌に無防備な唇。
無自覚な可愛さに襲いそうになる。
…だが、我慢だ。
ぽんぽんと頭を撫でると、へらっと笑う。
悩みはあるものの、2人で過ごす時間は一番幸せだ__
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▽▽
大学では学科も違う影響で、門をくぐると別行動になる。
ひらひらと手を振り雛さん達の方へ向かう雨月。
その姿も、可愛いなんて思う俺は余裕がなさすぎると思う。
つい口に出してしまった言葉に反応した沙鶯に気づかず驚いてしまった。
不思議そうに首を傾げ聞いてくる沙鶯。
(っ!)
わかってくれる同士がいた。
やっぱり恋人が可愛いことで悩む人もいるんだな。
お互いの恋人のことを語り合い、笑い合う。
わかってくれる人がいるだけでも支えだ。
▽▽
2人で惚気話をしながら歩いていた時、後ろから呼びかける声が聞こえた。
沙鶯に向けた嫌な顔をぱっと変え、笑顔で挨拶をしてくる琥珀。
この2人は相変わらず犬猿の仲。
2人でバチバチと火花を散らしている。
(まぁ…こたのこと奪おうとしてたんだもんな…)
今は鶇がいるから大丈夫だが、今まで沙鶯はこたのことが好きだった。
だから警戒する琥珀の気持ちもわかる。
両頬を抱えて照れながら伝えてくる琥珀の姿は幸せそのもの。
(ここにも同士がいた…)
俺だけが悩んでいると思ったことを、沙鶯も琥珀も悩んでいるという事実に安心した。
(まぁ…なんだかんだ言って)
今晩はどんなおねだりをされるのだろうか。
俺の雨月は誘い上手。
筋肉痛にならないことを願うばかりだ__
今回は晴向目線の回です〜!!
晴向は雨月を溺愛しています…可愛すぎて悩んでる晴向が書きたかった…。
次回は甘々ゆるゆるえちえち晴雨です〜!!
晴雨特有の大人なえちえちをお楽しみ下さい〜!!
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次回もお越しください〜!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!