第76話

懐かしい話と狼さんの思い出。
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2020/03/18 14:36

僕には小さな楽しみがある。
ふぅ〜君と過ごす中で小さな幸せを見つけることだ。ふぅ〜君と過ごす中で幸せだな、とか可愛いな、かっこいいなとか思った瞬間を見つけるのが僕の楽しみ。


僕は少し早起きだから5時30分に起きる。
そういうことをシた日に早起きした僕だけが知ってるふぅ〜君の寝顔は可愛いくて堪らない。




▽▽


朝起きたら必ずするのは朝ごはん作り。

今日は昨日の帰りにパン屋さんで買った食パンがあるな〜っ


朝ごはんは2人で作ったり、ふぅ〜君が疲れた時や、すやすや寝ていたりする時は1人で作る。


今日はバナナと板チョコもあるから…
よし、チョコバナナトーストにしようっ


作ると決めたらすぐ調理にかかるタイプ。

朝はあまり動きたくないから簡単なものだけど美味しいものを。

バナナを簡単にカットして、食パンの上に乗っける。バナナの上に板チョコを何枚か敷いて焦げないようにトーストで焼けば完成。マシュマロものせて焼いたらもっと美味しいらしいけど、朝ごはんはバナナとチョコで充分かな。

このトーストは今はいないお母さんに教えてもらったもの。お母さんは料理が大好きで、沢山料理を教えてもらった。
生姜焼き、唐揚げ、グラタン、ポテトサラダに野菜の味付け…本当に沢山教えてもらったな。
亡くなることを知っていたお母さんは僕の為に一冊のノートを作って亡くなった。ノートの中身は今まで作ってくれた料理の作り方で…思い出して泣いちゃったなぁ。


今は1番大切な人に作ってあげれてるから、お母さんには感謝しかない。



6時過ぎ、ふぅ〜君が眠そうな顔をしながら起きてくる時間。


顔を洗い終わり、やっと目が覚めたふぅ〜君が後ろから抱きついてくる。


楓馬
おはようのキス忘れてました〜…ん…
んっ♡おはよう、ふぅ〜君っ
楓馬
可愛い〜、もっと…


抱き寄せて舌を入れてキスをされる。
んぅ♡♡…ちゅ…っぅ♡♡…んっ♡♡…ぷはっ♡♡


ちゅ…ちゅっと静かな部屋にリップ音が響き渡るのが少し恥ずかしい。

楓馬
っは…おはよう、ひなさん♪
〜っ♡♡


これが僕たちがお泊まりした時の朝。


トーストを美味しそうに食べてくれるふぅ〜君の顔も大好き。


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▽▽


真夜中、ひなさんと寝ている時にパチッと目が覚めることがある。けれど横にはひなさんがいてくれて…。いつ見てもひなさんの寝顔は可愛い。
こんなに小さくてほわほわしてて…だけど自分がやると決めたことは諦めない力。そんな所に俺は憧れた。




あの時だって…__










–3年前、高校一年生の時–


夏の夕方、放課後の図書館の中で本を読みながら思い出す、午前のこと。





『男が保育士って…なんか変じゃね?』





同級生に言われた一言。
とてもショックだった。
何故自分が決めた夢に文句を言うのか、何故自分の偏見を押し付けるのか。





楓馬
…はぁ



思い出すと嫌な気持ちになるから、気を紛らわすために自分のお気に入りの幼児教育の本を読む。



ぼーっと眺めていると、コツコツと聞こえていた足音が俺の前で止まった。



あっ…この本いいよねっ、僕も好きなんだ〜
楓馬
え…?


ひょこっと本のタイトルを見て話しかけてきた桜色の髪の生徒。


この本のことを言っているのだろうか。
でもこれは幼児教育の本で、"男"が読むべきものではないのだろう。何かの本と間違えたのではないのだろうか。



…やっぱり、同級生が言ったように、男が保育士になるのは__



__僕、保育士目指してるんだ〜っ


楓馬
っ!


俺の思っていたことを遮るように言い放たれた言葉。


驚いた。俺と同じ夢を、同じ"男"が持っていたということに。


この本、子供が怪我した時の適切な処置法や誤飲の時の対処法とかもちゃんと書かれてて勉強になるし、見てて楽しいんだよねっ
楓馬
あ…あの…保育士目指してるんですか…?
うんっ!ぁっ、もしかして男子が保育士って…とか思った〜?


じーっとこちらを見つめてくる。


僕は…子供が好きだから、なりたいからなるんだ。他の人に偏見持たれても僕自身がやりたいんだから諦めるなんて絶対いやっ
男が保育士になっても、子供への愛は変わらないんだからっ


ニコッと微笑んでくる。

楓馬
ぁ…


凄い、この人は周りからの偏見も気にせず自分の夢に向かって歩き続けている。
なのに俺は周りに流されそうになって…。



名札…えっと…子羊君?は…幼児教育の本を読んでるけど…子供を育てる何かになりたいの?
楓馬
っ!俺は…


一瞬躊躇ってしまったが、今なら恥じらいなく言える。
あぁ、貴方みたいに周りを気にせずに堂々と言って見たいな…。





いつか必ず、みんなの前で堂々と言える夢になるように__



楓馬
…俺も…保育士になりたいんです
っ!僕と同じだねっ!子供、好きなの?
楓馬
はい、大好きですっ…あの無邪気な笑顔も可愛いくて〜
っ!ふふっ、今の子羊君の顔とっても幸せそうだよっ
本当に子供が好きなんだねっ
楓馬
っ…




トクンッ





なんだろうこの胸の暖かさは。
さっきからこの先輩と話していると胸がトクトク鳴る。




この気持ちは…なんなのだろうか。




その答えを知るのは1ヶ月後__














今回はここまでです。
過去を色々と書いていなかったので回想って感じで書いてみました。雛の料理上手の秘密と楓馬が恋を知る瞬間です。
次もふぅひなのえちえち後の朝から学校までのルーティーンを書く予定ですよ!次回は学校から家に帰ってきて、夜を迎えるまでです。多分えちえちだと思います!!
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次回もお待ちしています!!

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