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2021/07/29

第2話

♯1
──現代 日本。


ある一家のテレビから、無機質で抑揚のない声が放送された。


〘続いてお伝えします。昨日午後10時頃、東京都〇〇区にて高校2年生の女子生徒1人が車にはねられて亡くなりました。〙

〘犯人は未だに逃走しており、警察は現場の防犯カメラなどの情報を頼りに捜索を続けているようです。〙

























人は、常に"自分は大丈夫"という言葉を胸に生活している。

そのため、ニュースで報道されていることを他人事のように思ってしまうところがある。

どんなに残虐非道な殺人事件、不幸な交通事故が報道されても、

「自分の身体には何も無いから、大丈夫だろう。」

そう思うのだ。


しかし、いつかは自分の身に降りかかることがあるかもしれない。

その考えを常に持っていなければ、人はダメになってしまうだろう。





























──飽きた。


そう思い、私はパタンと本を閉じた。

いつの間にかあたりはオレンジ色に染まっており、時計を見れば完全下校の時刻が迫っていることに気がついた。

私─神楽坂あなた─は、夕焼けに染まった図書室を見回した。


先程から興味深い本を見つけたために読みふけっていたのだが、まるで何も勉強にはならなかった。

事件・事故の話題を人が気にしないことは普通だと思う。

自分がいつか、それの対象になるかもしれないから。


しかし、あの本は意味のわからないことを文にしてつらつらと述べているだけ。

そりゃあ、目も疲れるし飽きるわな。


そうして、その本を棚に戻し、私は足早に学校を去った。




校門を通り過ぎると、瞬間にチャイムが鳴り響いたので、ギリギリだったようだ。


『(間に合ってよかった……。)』


そう思ったが、あたりは暗くなり始めていたので、人気のない道を歩き始める。



──そういえば、明日は久しぶりに"先輩たち"に会えるのか。


人がいないと寂しいので、ついこんなことを考えてしまう。

"先輩たち"は、個性豊かで周りから変なあだ名をつけられているのだ。

本人たちは気にしていないし、むしろ先輩たちの間でもそのあだ名で呼んでいるため、私も便乗させてもらっている。

先輩たちは今は大学生で、私とは関わりが少なくなってしまったけれど、こうして会う日を決めて皆でパーティーをする日もあるのだ。

私は先輩たちとは長い付き合いなので、お邪魔している。


皆個性があって、優しくて、面白くて──


「おい!!!!!!!!!!」



『──え』


その瞬間、私の視界は暗転した。

最後に見えたのは、私が立っていた歩道に、車が突っ込んでくるところだった。


何が起こったんだろう。


そう思ったが、ふと、先程読んだ本の内容を思い出していた。

事件は、いつ自分に降りかかるか分からない。


それが、最悪の日に起こっただけ。


"だけ"。


私は彼らの眩しい笑顔を脳裏に思い描きながらも、何も見えない真っ暗闇の中、目を閉じた。


















『ごめんなさい。』
















✂--------------- キ リ ト リ ---------------✂

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

初回からいきなり重くなってしまいましたが大丈夫だったでしょうか。

訂正などがありましたらコメントでお教え下さい。

言い忘れておりましたが、この小説は流血表現や暴力表現などが含まれます。

見ていて不快にさせてしまったら、申し訳ありません。

今後ともよろしくお願い致します🙇‍♀️
あなたさんのイメ画です(マフラーをつけてます)⏬
こんな感じです。イケメンですね(女)