しばらく放心状態だったアルフレッドが急に話しかけてきた。
誇らしげに笑って扉に手をかける
ゆっくり、ゆっくり開いていく。遠ざかっていく
分からない。分かりたくもない。
一縷の望みが消えた感覚。
夢を見ていたのかもしれない。
ヒーローが助けてくれて、みんな戻ってきて
温かくて美味しいご飯を食べる、そんな夢。
怖い夢を見たと言ってルートに抱き着いて、みんな笑ってて
眩い金髪が扉の向こうへ消えていく。
バタン
悲しい音がフェリシアーノを拒絶した。
信じた仲間に裏切られ、祝福はすべて横取られた。
崩れそうになる膝を必死に動かし、階段を上る。
トーチに灯はない。
それども祈りの祭壇へ向かわなければという使命感だけで、今歩いている。
さぁ、祭壇へ____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!