第73話

【両想い編17】ふたり 修学旅行⑦
1,430
2021/10/15 07:00
~あなたサイド~


旅館の和室に敷かれた布団で、
手をつないで、そっと実弥に添い寝をした。

ほのかに実弥の手は、まだ熱を帯びている。
不死川 実弥
不死川 実弥
寒いだろ、布団入れよ
あなた
うん…足入れさせて////
グイッ…
不死川 実弥
不死川 実弥
背中出てるじゃねぇか
もっと近くに寄れって
あなた
えっ…うん
実弥に布団の中へと招き入れられて、
ぴったりと寄り添う形になった。

部屋にふたりとはいえ、修学旅行だ。

なんかいけないことをしている気分////
あなた
あのさ、今日はずっと
体調悪そうだったのに…

気がつけなくてごめんね
不死川 実弥
不死川 実弥
ンなこと…

自分でもぶっ倒れるまで
わかんなかったぜ
不死川 実弥
不死川 実弥
せっかくの修学旅行にすまねぇ
あなた
ううん、
実弥といられることが何よりだよ
不死川 実弥
不死川 実弥
俺も…
あなたがそばにいてくれて…
すぐそばで見つめあうと、
実弥の息づかいが、くすぐったかった。

こうして見ていると、実弥の瞳には
不安の色と安堵の色が、交互に現われる。
あなた
大丈夫だよ
いつも実弥のことを想ってる
どこにも行ったりしない
不死川 実弥
不死川 実弥
俺…そんな顔してた?
あなた
ふふっ
してたーっ

熱で変な夢でも見た?
ほっぺを両手でぎゅうと包むと
実弥は恥ずかし気に顔を背けた。

目を背けたまま続ける。
不死川 実弥
不死川 実弥
俺さ、いいのかなって…
不可抗力とはいえ過去に手を汚して、
幸せになる権利なんかねぇんじゃねえかって…
不死川 実弥
不死川 実弥
おまえのこと幸せにするなんて
おこがましいのかもしんねぇって…
あなた
実弥!!
実弥はふとこうやって、
自分を押し殺してしまうところがある。

離しちゃダメなのは、わたしの方だ。

実弥の心が、ふっ…と落ちてしまわぬよう
絶対につかまえてないと。
あなた
そんなこと言ったら怒るよ
不死川 実弥
不死川 実弥
…だけど
あなた
わたしがそばにいたいからいるの
あなた
幸せは自分の力で引き寄せるんだよ
誰かにしてもらうんじゃない
不死川 実弥
不死川 実弥
あなた…
あなた
わたしはちゃんと自分の足で立ってるから、実弥も自分を大切にね
あなた
一緒に幸せになろ!
不死川 実弥
不死川 実弥
ああ
実弥の顔が、ふにゃっとほどけた。
なんて優しい顔で笑うんだろう、この人は。
不死川 実弥
不死川 実弥
俺、おまえがそういうヤツだから
惚れたんだろうなァ
不死川 実弥
不死川 実弥
なんつーか、
ちょっとやそっとじゃへこたれねぇ
前向きで突き抜けてるとこ
あなた
もー何言ってんの!
勉強はできないし、運動もそこそこ
ザ・凡人だよ
不死川 実弥
不死川 実弥
いいや、俺にとっては…
あなた
俺にとっては?
そこまで言いかけて、急に照れてまた顔を背けた。
言うつもりないのに言っちまったって顔!
不死川 実弥
不死川 実弥
なんでもねーよ/////
あなた
もー!
不死川 実弥
不死川 実弥
…/////
あなた…
あなた
…/////
ふいに視線が戻され、
真剣なまなざしに、心臓がどきりと跳ねた。

そして、どちらからともなく…
あなた
ん…////
不死川 実弥
不死川 実弥
愛してる…
吸い寄せられるように、キスをした。

柔らかなくちびるが心地よい。

お互いの想いが同じということを示すかのように
舌を絡めあう。

魂がキュっと抱きしめられているかのような
激しいけど優しいキス。
あなた
…ふぅっ…
不死川 実弥
不死川 実弥
ハァッ…
どんだけ愛しても足りねぇ…
角度を変えて、何度も
実弥のくちびるが押し当てられた。

そのたびに熱を帯びて、情熱が流れ込んでくる。
不死川 実弥
不死川 実弥
…ハァッ/////
実弥の手が汗ばんで、息づかいがだんだん荒くなる。
あなた
実弥ってば…////
その時だった。


コンコン…


ガラッ
煉獄先生
煉獄先生
よもや、具合はどうだ不死川
宇髄先生
宇髄先生
熱だってなぁ?情けねぇ
や、やばいっ…!!

先生達だ!!!
あなた
(寝たふりしよっ!!)
わたしはとっさに耳元でささやいた。

実弥が小さくうなづく。
不死川 実弥
不死川 実弥
…Zz
あなた
…Zz
煉獄先生
煉獄先生
よも!寝ていたか!
まだ顔が赤いようだ
宇髄先生
宇髄先生
だなぁ
あなたは看病してるうちに寝ちまったか
煉獄先生
煉獄先生
しかし、男女を同じ部屋に
寝かせるわけにいくまい
宇髄先生
宇髄先生
…ま、俺はこいつらを信じてるからよ

せっかく気持ちよく寝てんだ
寝かしておいてやろうぜ
あなた
…/////
さっきとは別の意味でドキドキが止まらず、
布団の中で手をつないだままの私たちは
寝たふりを続けるので精一杯だった。


とても…さっきまで
キスしていましたとは…ね/////




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